「成功報酬、弁護士が困窮家庭から回収するのはおかしい」ことの意味を考える 法テラスの援助は給付制の実現が重要
- 2023/01/26
- 23:02

法テラスは所得が一定の基準以下であれば利用できますから、弁護士費用を一括で用意する必要がなく、使い勝手の良いものです。 しかし、あくまで立替なので事件進行中から毎月定額の償還が必要です。 事件終了後、報酬が発生する場合もあります。相手方から得た金銭などから一定の割合による報酬が発生します。 なお生活保護受給者は事件処理中は償還猶予、終了時に生活保護の受給中であれば償還免除となります。 この場合を...
今時の司法改革が目指した大きな司法は、財界の目指す新自由主義経済を貫徹するためのもの やはり憲法裁判所は不要
- 2019/01/09
- 02:31

2001年6月に公表された司法制度改革改革審議会意見書ですが、この時期から始まった司法改革は、弁護士激増と大きな司法を作り上げるためのものでした。 これはあくまで新自由主義経済を貫徹するためのものです。 先日、紹介した『立憲的改憲-憲法をリベラルに考える7つの対論』の中にも記述がありました。 井上武史教授の一節の中に、宮内義彦氏らに招かれ講演を行った、その中で宮内氏から憲法裁判所を設置できないか、...
裁判外の紛争解決手段(ADR)も風前の灯火 司法改革の失敗はここにも なお固執する法務省
- 2018/08/29
- 10:32

司法制度改革が意見書という形で世に出てきたのが2001年6月、法曹人口の激増、法科大学院制度、裁判員制度とどれをとっても失敗ばかりです。 その中で裁判外の紛争解決手段(ADR)も失敗の1つです。「法務省 ADR利用伸びず 拡充へ法改正検討」(毎日新聞2018年8月25日)「民事上のトラブルを訴訟よりも迅速で安価に解決できる「裁判外紛争解決手続き」(ADR)の利用拡大を目指し、法務省はADR法改正に向けた検討を進...
司法審意見書が法曹人口を語るとき、隣接職種を無視したのは? 隣接士業は法曹ではなく、これらに担わせるのは改革の理念に逆行するからだ
- 2018/02/03
- 01:16

司法制度改革審議会(司法審)が法曹人口を激増すべきとした意見書を出したのは2001(平成13)年6月でした。 そこではとにかくフランス並に法曹人口を増加させる必要があるとうたわれ、それは潜在化した法曹需要があり、とてもではないが現状の弁護士だけでは足りないということにありました。 これに対しては、日本では司法書士、税理士、公認会計士などのような隣接士業があるが、フランスなどではこのような区別がなく、そ...
14年かけての司法試験合格 社会的にどのような意味があるのか すべては司法試験合格者数激増を正当化するため
- 2018/01/05
- 22:22

静岡県職員の方が14年掛けて司法試験に合格したということが記事になっています。「司法試験、待望の合格 静岡市職員の男性14年勉強重ねる」(静岡新聞2018年1月4日)「静岡市総務局コンプライアンス推進課係長の後藤貴浩さん(44)が2017年の司法試験に合格し、18年1月に市の職員表彰を受ける。当面、司法修習は受けずに業務を続けるという後藤さんは「せっかく学んだ知識。市のために貢献したい」と話している。」...
崩壊すする司法「改革」 当時の主役たちは?
- 2017/11/18
- 18:40
この動画がおもしろいです。これまでに起きた司法「改革」がらみの不正や不祥事が思い起こされます。 司法制度「改革」が始まったのが2001年の司法制度改革審議会の意見書(なのでその前からは始まっているのですが)とすれば、それに日弁連やマスコミ、政府、大学関係者などがこぞって、その司法審意見書を絶賛していました。 しかし、すべての「改革」がことごとく失敗し、散々たる状況を招いていますが、未だに「反省」の声...
アディーレ法律事務所に対する2ヶ月の業務停止処分がやっかみというのは当たらない
- 2017/10/20
- 09:42

アディーレ法律事務所が東京弁護士会より業務停止2ヶ月の処分を受けたことで、多くの依頼者を抱えていることから、その影響力は非常に大きなものになっています。 しかし、この処分をアディーレ法律事務所に対するやっかみだとかアディーレ憎しでやったものという論調には明らかに違和感があります。「「アディーレ法律事務所」が大ピンチ 業務停止処分は妥当なのか?」(文春オンライン) 関係者の発言として紹介しています...
弁護士法人アディーレ法律事務所に対する業務停止処分 司法「改革」がもたらした営利至上主義
- 2017/10/13
- 08:34

弁護士法人アディーレ法律事務所が所属する東京弁護士会から業務停止2月の処分を受けました。「弁護士法人アディーレ法律事務所らに対する懲戒処分についての会長談話」(東京弁護士会)「同弁護士法人は、広告表示が改正前不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」といいます。)の有利誤認表示に該当したとの理由で、消費者庁より広告禁止の措置命令を受けましたところ、この度、当会は、同弁護士法人の広告行為が景表法...
司法修習生に対する給費の復活 福井秀夫氏の主張について
- 2016/12/23
- 22:36

引き続き、前回の読売新聞に登場した識者の意見に対する検討です。「司法修習生に対する給費の復活 阪田雅裕氏の主張について」 今回は、福井秀夫・政策研究大学院大教授の見解です。 出だしから「給費制の復活は、司法制度改革の理念に完全に逆行し、国民の利益に反するものだ」から始まります。 福井氏がいうところの「国民」の概念については後に述べますが、今時の司法改革は構造改革を遂行するために始まったのですが、...
司法修習生に対する給費の復活 阪田雅裕氏の主張について
- 2016/12/23
- 19:33

先般、給費制の復活が法務省からも正式発表がありました。法曹養成制度「改革」の失敗が顕著になる中で、給費制の復活はその改善のための一歩となりました。「司法修習生に対する「給費」が復活 どうにもならないほど司法が崩壊していることの象徴となったことが悲しい」 読売新聞の論点スペシャルで3名の識者が登場しています。 中村隆・日弁連副会長 阪田雅裕・元内閣法制局長官・弁護士 福井秀夫・政策研究大学院大教授...
司法修習生に対する「給費」が復活 どうにもならないほど司法が崩壊していることの象徴となったことが悲しい
- 2016/12/20
- 03:37

2001年に始まった司法制度「改革」により、司法試験合格者数が激増され、2004年には法科大学院制度が始まり、さらなる激増を目指し、「改革」が遂行されました。 事前規制の撤廃から事後救済型の社会を目指すという規制緩和政策における司法の「強化」として位置づけられていました。 規制緩和の中で法曹の役割が増大するだろうという需要見込みまでなされました。 その過程で、従来、司法修習生に対する給費がありましたが、...
日本司法支援センター(法テラス)の運用の変更がもたらしたもの
- 2015/12/24
- 10:42

朝日新聞の記事からです。「DVの元夫「養育費払えない」 母と娘、洗面台ない生活」(朝日新聞2015年12月22日)「弁護士費用として月1万6千円35回払いの借金が残った。」 この当事者の生活苦の状態からすると弁護士費用の借金というのは、日本司法支援センター(法テラス)の弁護士費用立替に対する償還のことだと思います。 最近、日本司法支援センターの運用基準が変わり、3年以内の償還という運用に変更されました。...
右翼弁護士南出喜久治氏が日弁連に対し提訴 既に解決済みの問題を蒸し返すウヨク勢力
- 2015/07/04
- 12:57
現在、政府が国会に提出している戦争法案に対し、日弁連は反対の姿勢を示し、反対のための運動を展開しています。 私が所属する札幌弁護士会でも戦争法案に反対する意見書を出し、7月11日には集会開催を予定し、戦争法案反対のための運動を展開しています。「(仮称)集団的自衛権・「安保立法」ストップ 北海道集会&パレード開催のお知らせ」 弁護士会が反対を表明するのは、戦争法案が憲法違反と考え、それがまさに弁護士...
裁判所の支部機能の充実は可能なのか 司法予算増額要求に「忙しすぎる裁判官」は古すぎる
- 2015/01/16
- 00:35
裁判所は、最高裁(東京に1つ)、高裁(全国に8つ)、地裁は各都道府県に1つ(但し、北海道は4つ)がありますが、都道府県の中には、地裁の支部も設置されています。 支部には裁判官が常駐している支部もあれば、常駐せず、週に数日、あるいは1ヶ月に数日、赴くところがあります。 日弁連や弁護士会などは、裁判官の常駐を主張しています。 裁判官の非常駐支部では、合議事件(3人の裁判官による)は扱えず、また特定の手続き...
『絶望の裁判所』 司法「改革」の意味を問い直す
- 2014/05/09
- 09:33
この『絶望の裁判所』は、元裁判官である瀬木比呂志氏の著作です。 司法官僚制度を批判する内部(但し、退官後ですが)告発本として法曹界では話題になっていました。 そこで私も遅ればせながら読んだ次第です。 実体験に基づいている点はよくわかるのですが、内容としてはかなり愚痴っぽい書き方で「分析」という感じはほとんどしませんでした。 それはともかく、瀬木氏の分析は、最高裁は裁判所に対する「改革」を逆手にと...
民事司法を利用しやすくする懇談会「最終報告書」の問題点 民事審判制度は落ちたけれど
- 2014/02/08
- 00:04

民事司法を利用しやすくする懇談会が2013年10月30日に最終報告書を公表しました。 同会ホームページ 最終報告書(PDF) この懇談会は日弁連が作り上げたもので、要は御用機関です。政府が審議会を作り、自らの「お友達」を審議委員にして都合のよい答申を出させる構造と全く同じです。少なくとも、そこに日弁連会員の意思は反映されていません。 もっとも、会員の中で批判の強かった民事審判制度の創設は、この最終報告書か...
『司法崩壊の危機』
- 2013/06/28
- 23:08
本の紹介です。 『司法崩壊の危機』(花伝社) 法曹養成検討会議の中間とりまとめ(2013年4月9日)に対する批判的検討も加えたもので、司法「改革」批判の最新の著作です。「「司法崩壊の危機」という本を共同執筆しました」(白浜の思いつき)ブログランキングに登録しています。 クリックをお願いいたします。にほんブログ村人気ブログランキングへ...
弁護士費用保険に希望はない、幻想を抱くのは止めよう
- 2013/06/06
- 16:34
日弁連の一部の勢力は、今なお弁護士人口激増路線を突っ走っています。 その言い訳の1つが民事司法基盤ができていないからだというものです。弁護士費用の立替などのための法律扶助の予算が拡充されていない、弁護士費用保険が整備されていないからだ、という主張です。 第62回定期総会「民事司法改革と司法基盤整備の推進に関する決議」(2011年5月27日)「中本和洋弁護士、一体、何しに札幌に来たの?」 そのようなこと...
小林正啓先生 責任あるご意見をお願いします
- 2013/05/20
- 09:37
小林正啓弁護士が、中坊公平氏をA級戦犯と評した人たちに対し、薄っぺらと評価し、しかし、その内容たるや、あたかも中坊氏が司法試験年間合格者数3000人以上の激増を防いだかのような主張をしています。「中坊公平氏死去」 それについては、私は、「「3000人」増員を招いたA級戦犯は誰だ 当然、中坊公平氏もその一人」で批判しました 私がこの記事をエントリーした動機は、小林先生が、上記のエントリーで、「「中坊のせい...
事後救済型社会と行政訴訟
- 2012/06/28
- 13:01
2001年に出された司法制度改革審議会意見書、いわゆる司法審意見書ですが、これは規制緩和(構造改革)を推進し、事前規制型社会から事後救済型社会への転換を標榜していたものです。 事前規制をとっぱらい、その結果、生じる紛争を司法によって「救済」するというものです。 坂野真一弁護士がそのブログで、「事後的救済社会と司法」という見解を発表されています。 ここで述べられていることは、事後救済型社会といっても、...
会館建設
- 2011/10/25
- 16:41
弁護士会などは、その執務スペースは当然に必要になりますので、賃貸でテナントを賃借するか、購入するのかということになります。 札幌弁護士会でも、それまでずっと賃貸物件を利用していましたが、2005年に会館取得問題が浮上、浮上したと思ったら、臨時総会で購入が議決されていました。 私は反対に挙手しましたが、反対は圧倒的少数でした。 他会でも、同様の問題が起きているようです。 福岡県弁護士会では、会館の...
広報さっぽろ7月号
- 2010/07/07
- 17:18
広報さっぽろ7月号が配布されてきました。 中をみると法律事務所の広告が掲載されていました。今や広告自体には驚いたりもしないのですが、しかし、以下の内容には驚きました。■広報さっぽろを持参の方に限り初回相談料無料!※電話予約の際に「広報さっぽろの広告を見て」とお伝え下さい。 1つの工夫なのでしょうか。 しかし、法テラス登録事務所でもあるようですから(広告には、そのように掲載されています。)、収入基準...