給費制の議論は始まっていない 松田奈津子氏の主張
- 2011/08/30
- 01:09
週刊金曜日2011年8月19日号に、「給費制の議論は始まっていない」と題して、松田奈津子氏の主張が掲載されています。 松田氏は、今年、司法試験を受験されたとあり、その立場を明らかにされています。 そこで主張されていることは、目を覆わんばかりのものです。 「(試験に合格すれば修習生になるので)給費制はまさに当事者の問題である。」 確かに、給費制により、給費を受ける立場ということであれば「当事者」かもしれま...
法科大学院制度の存続は絶対か
- 2011/08/25
- 08:44
法曹の養成に関するフォーラム第4回議事録が公開されています。 PDF さて、ここでの議論は相変わらず、司法修習生に対する給費制の「見直し」の問題です。 法曹養成制度全体、そして法曹、特に弁護士人口の前にこの議論をすること自体が、制度設計の議論のあり方としては誤りであり、この回でも、萩原委員は、指摘しています。 「しかし,そもそもこの貸与制を基本とした上でというのは,どういう意味なのかという疑問が...
時代に逆行する「カジノ推進法」
- 2011/08/25
- 00:35
カジノ推進法案を策定=今秋にも提出-超党派議連時事通信2011年8月24日(水)15時28分配信 民主、自民、公明など超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連、会長・古賀一成民主党衆院議員)がカジノ導入に向けた基本法「カジノ区域整備推進法案」を今秋にも国会に提出すると報じられています。 一体、この議連に参加している国会議員は、何を考えているのでしょうか。 パチンコ業界ですら、斜陽傾向が出ている中、この...
高橋はるみ知事 泊原発にゴーサイン
- 2011/08/17
- 13:28
高橋はるみ北海道知事は、泊原発3号機再開にゴーサインを出すと報じられています。 これまでも高橋はるみ氏は、原発に偏った政治姿勢を示していましたが、泊原発3号機再開についても、ゴーサインを出したくてうずうずしていたものです。 北海道新聞2011年7月16日付朝刊でも、 「道知事として、道民生活や産業活動を支える意味で、電力の安定供給を確保する責務がある。」 「(道内の電力需要がピークを迎える)12月には、...
法科大学院 未修者コースの怪
- 2011/08/15
- 09:39
法科大学院には、法学を納めた既修者コースと、法律を全く学んだことのない未習者コースがあります。 既修、未修といっても法学部卒業かどうかではなく、入学試験に前者は法律に関する問題があり、後者は法律に関する問題がないという区別です。 なので、法学部を出ていなくても独学(予備校を利用する場合も含め)で法律を学んで、既修者コースを目指すのものよいし、法学部を卒業しながら、なお未修者コースを目指すのも自由...
「戦後司法制度の経済学的分析」 木下富夫教授 その2
- 2011/08/09
- 16:36
木下富夫武蔵大学経済学部教授 日本評論社 第10章についてコメントします。第10章 法科大学院の設立と法曹養成制度:人的資本理論の観点から この章における木下富夫氏の結論は、以下のとおりです。①学生にとって教育環境を整えた制度にすべき②諸外国では、入り口(法科大学院の入試)で絞るのに、我が国では出口(司法試験)で絞るようになっており、リスクとコストが大きくなってしまった。③法科大学院の定員を早急に4000...
「戦後司法制度の経済学的分析」 木下富夫教授
- 2011/08/09
- 11:08
木下富夫武蔵大学経済学部教授 日本評論社 今時の司法改革を経済的視点から分析したものです。これまでも経済的視点からの主張は、特に新自由主義の立場から規制緩和論に基づいてなされていました。 木下富夫氏が、その点、どのような立場なのかは同著からは、わかりかねるところですが、いろいろと新しい視点でした。とはいえ、司法の分野に精通していないままに分析をされているのではないかと思われる部分も多々あります。...
第4回フォーラム 宮脇淳教授提案の問題点
- 2011/08/08
- 06:11
法曹の養成の検討に関するフォーラム第4回の資料が公開されています。 その資料の中に宮脇淳北海道大学公共政策大学院教授の提案もアップされています。 PDF 宮脇淳氏は、このフォーラムでは日弁連に対し、弁護士登録後の負担である会費についての資料の提供を求めていました。 日弁連が提出した資料がこれです。 PDF 宮脇氏の提案の骨子は、①法曹は決して特権的存在ではない。②貸与受給者に対し、返済時期において資力に...
裁判員の守秘義務とは
- 2011/08/06
- 23:32
朝日新聞2011年8月2日付朝刊、「裁判員の守秘義務」として3名がそれぞれの見解を述べています。 平良木登規男氏(元裁判官、大東文化大法科大学院長) 「自由な発言の保障が目的」 田口真義氏(押尾学被告の裁判員経験者) 「「話せない」荷重く孤独に」 河津博史氏(日弁連裁判員本部事務局次長) 「経験共有するため緩和を」 裁判員、元裁判員には、評議の秘密を漏洩してはならないという守秘義務が課せら...
法科大学院制度は失敗したのか その2
- 2011/08/05
- 13:12
「法科大学院制度は失敗したのか」2011年4月号法律時報 引き続き、後藤昭一橋大学教授の論考に対する批評です。「法科大学院で多くを学ぶことができた修了者たちは、法科大学院制度の価値を認めている。法科大学院ができたからこそ、自分は法曹になれたと感じている者は少なくない。」 一体、何を根拠に? 日弁連第24回司法シンポジウム基調報告の付属資料「新法曹データブック」にそのような意見が掲載されていることだそうで...
法科大学院制度は失敗したのか その1
- 2011/08/05
- 09:02
「法科大学院制度は失敗したのか」 2011年4月号法律時報に後藤昭一橋大学教授の論文が掲載されています。 題名にこのような問題提起がなされていますが、直接の回答がありません。 末尾に 「法科大学院制度は、たしかに深刻な問題を抱えている。それにも拘わらず、法科大学院を中核とした新しい法曹養成制度の構想は、やはり基本的には正しかった(略)この新しい制度の特色をより良く活かす条件を作ることである(略)司法...
給費制廃止か?
- 2011/08/05
- 07:36
報道によると政府は、給費制廃止を決めたそうです。 時事通信2011年8月4日配信 一民間事業者である弁護士の養成に給費制度を取るのは、けしからんという主張があります。 これ自体は、不正確です。あくまで法曹資格者の養成です。 法曹資格は、法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)になる資格です。いわば共通資格です。 さて、この給費制度に対しては、法曹の養成に関するフォーラムでは、特に法科大学院関係者から、悪罵が...
陪審員に脅迫相次ぐ
- 2011/08/03
- 09:00
朝日新聞2011年8月2日朝刊 全米で注目を集めた殺人事件の裁判で無罪の評決があり、本来であれば、その氏名を公表しなければならないのに、公表できないでいるというものです。 この事件は、フロリダ州で起きたもので、25歳の母親が2歳の娘を殺害し、死体を遺棄したというものですが、陪審員は無罪としたものです。 この法廷は、テレビ中継までされたそうですが、メディアは「有罪」を予想していたそうです。 無罪評決に対し...
第3回法曹の養成に関するフォーラム その2
- 2011/08/03
- 08:10
第3回議事録次に弁護士会費について議論されている部分があるので、この点について見てみましょう。 宮脇淳北海道大学公共政策大学院長が、弁護士登録後の負担について問題提起されています。「今回のことを考えるに当たって,給付額というものと同時に,司法修習が終わった後の負担問題の両方考えるべきではないかということで,弁護士会に入られた後の会費負担の問題について資料提出を要求させていただきまして,」 日弁連...
第3回法曹の養成に関するフォーラム その1
- 2011/08/01
- 23:37
法曹の養成に関するフォーラムの第3回議事録がアップされました。 以前、「司法修習生に対する給費制」で述べましたが、報道だけではなく、議事録そのものを読んでみれば、何とも言えないレベルの議論です。後藤司法法制度部長 「司法制度改革後においても司法修習の重要性に変わりはなく,修習制度を国費で運営することや,修習に専念し得る環境を整えることは必要であるが,その方法として給費制を維持することについて国民...