先般、北海道小樽市で起きた飲酒の上で、携帯電話をいじりながらの運転により、3人の女性の命を奪い、1人の女性に重傷を負わせました。
「
RV車の無法を許してはいけない 小樽市で起きた4人が死傷する事故はRV車によるひき逃げ 飲酒と携帯への依存症」
この事件では札幌地検は、危険運転致死罪での起訴を見送り、通常の自動車運転致死罪での起訴となりました。
危険運転致死罪での立証が困難という判断です。
「
地検は、運転中にスマートフォンを操作するなどした脇見運転が事故原因と認定。事件直後に近くのコンビニまで運転するなど、「飲酒の影響で正常な運転が困難だったと立証するのは困難」として危険運転致死傷の適用を見送った。」(
毎日新聞2014年8月20日)
被害者遺族を中心に危険運転致死罪の起訴を求めて署名活動が行われています。
この気持ちはよくわかります。この犯行態様で何故というものです。これだけの結果を引き起こしておきながらというものですが、他方で、危険運転致死罪の構成要件、立証の問題を考えれば、検察庁の判断があながち不当とはいえません。
とはいえ、私は、危険運転致死罪の構成要件の中で、重大なものが1つ、抜けていると考えざるを得ません。
それは携帯電話を利用しながらの事故に関する規定が抜けていることです。
携帯電話の利用に関する罰則等は、反則金6000円のみです。
しかし、携帯電話を利用しながらの運転は、脇見などという次元のものではなく、意図的に運転手が携帯電話をいじりながら運転しているのですから、悪質そのものなのです。今回のように、運転手は飲酒の影響はあったとはいえ、運転中の携帯電話の利用こそが決定的な要素ではないかと言えます。
前方をみながら運転して、4人ものを人たちをはね飛ばすという運転であれば相当にひどい運転ですが、多分、今回の事件では前方に人を発見してまで、漠然と高速で突っ込んでいくことはなかったのではないか、そこまで泥酔してはいなかったのではないか、だから検察庁は危険運転致死罪での起訴を見送ったのではないかと思われます。
自分の意思で止められないことをどのように考えるのか、運転している最中であれば携帯をいじってはいけないというのは、常識でわかるレベルです。
従って、運転中に携帯電話をいじるのはまさに常識すら持ち合わせていないレベルなのか、極端な依存症なのか、いずれにしても、
そのままの状態で車を運転することは危険極まりないことになります。
そして、このような違反行為に対して反則金が6000円とは、いかにもバランスを失しています。
引き起こす結果からすれば、その危険性は、飲酒運転に比較しても決して劣るものではありません。
先般、てんかん持ちの患者に対しては、その引き起こした事故の大きさからなのか、直ちに持病持ちなどの「特定の病気によって正常な運転」に支障を来す場合にも危険運転致死傷の適用範囲を拡大し、また運転免許の取得に制約を課しました。
「
自動車事故の厳罰化は結果責任を問うものか 安全意識の欠如の問題」
携帯電話を使用しながらの運転は、本来、一発免停とすべき重大なものです。
引き起こした事故については、携帯電話の利用の仕方によっては危険運転致死罪の要素とする、あるいは、飲酒+携帯電話の利用など複合的な場合なども想定したものににする、など、携帯電話利用に対する制裁を強化しなければ、このような事故を防ぐことはできません。
また、携帯電話への依存をどのように考えるのかということが問われています。
どうしても運転中に止められないというのであれば、病的ともいえ、本来的に治療の対象となるものと思われますし、その治療を受けずに携帯を使用しながらの運転を続けることがどうなのか、病気ではなかったとしても明らかな危険行為ですから、それに見合った処罰が必要ということになります。
以前、スクランブル交差点で横断する人たちが全員、スマホをいじりながら歩いたらどうなるのかという実験映像が話題を呼んでいました。
ぶつからないで歩ける人は、1,500人中547人だけという衝撃の事実。どれだけ自己本位で歩いているんだという感じです。
空港などで歩いていても、歩くのが遅いなとか流れを妨げている人は、たいていスマホなどをいじっています。
これが運転ということになると、時折、速度があまりに遅いなと思って追い越すとスマホをいじっているという始末。交通の流れすらも乱す行為は、自分が事故を引き起こすだけでなく、他の車の事故を誘発しかねません。
中学生などの学力低下の記事も衝撃的です。コミュニケーション能力にもマイナスでしかありません。
「
全国学力テスト・小中学生の携帯やスマホの使用時間」(時事通信2014年8月25日)
このスマホ中毒者たちの存在は、社会問題であり、日本の病巣なのです。
このまま放置すれば、スマホしながらの運転者は確実に増えていきます。勉学に集中できない子どもを増大させます。
このままネット依存を放置すれば、日本社会の劣化の象徴となるでしょうし、さらなる悲劇が待ち受けていることは間違いありません。
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