先日、司法試験合格発表がありましたが、合格者数は1810人、昨年に比べて239名の減少であり、ようやく目に見える形での減少となりました。
昨年8月に3000人を目標とする閣議決定が撤回され、2012年の総務省政策評価では2000人でも既に弊害が出ていると指摘されていながら、ようやく、しかも少しだけ動き出したという状況です。
合格率は、過去最低の22.6%となり、いよいよ法科大学院過程を修了したとしても一部の法科大学院を除けば、司法試験に合格できる保障はなくなりました。
法科大学院の適正配置自体がもはや崩壊しているわけですから、地方の法科大学院を中心に今後の統廃合が加速することは間違いありません。
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香川大学法科大学院の募集停止 全国適正配置の「理念」は実現不可能に」
そして今回の減員で重要なことは、
今後も減員があり得ることを示したという点にあります。
ともかくも司法試験受験者の上位2000人(但し、予備試験合格者がいるので、1900人前後となる)は、
自動的に合格を保障してくれるようなことにはならないということです。それは、従前に比べても合格水準の低下を無視し得なくなったとうこともあろうかと思います。
いよいよもって法科大学院を目指そうとする志望者は激減することでしょう。法科大学院にいけば、法曹資格を取得できる、要はカネで買えるという意味ですが、この程度の動機の人たちは淘汰されることになります。
そうなると、誰が法科大学院に行くのか、親が弁護士の二世、進路の決まらない学生、就職したくない学生ということころでしょうか。普通に優秀であれば予備試験を経由すれば足りるので、法科大学院そのものの必然性はなくなるからです。
逆にいえば法務省は、そのような予備試験ルートを閉ざすことには危機感があるわけです。裁判官、検察官の給源が今のような水準が低下したところに求めざるを得ないような状況を避けるためにも予備試験制限などは、もってのほかということになります。
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内閣官房推進室「受験資格制限、今すぐは困難」 法曹養成制度改革」(産経2014年6月14日)
他方で予備試験の合格率も低下しました。今年が66.8%であり昨年度より5.1%の低下です。予備試験合格者数が増加したことも一因だと思いますが、この枠をどこまで拡げるかどうかで、事実上、予備試験枠、法科大学院枠が決まってきます。
とはいえ、予備試験においてもその枠を拡げれば、それ自体の水準を下げることにならざるをえず、水準が低下しているということは、そこでは実質的な競争は機能していないということを意味します。このままでは早晩、予備試験ルートにおいても水準の低下は避けられないということです。
大量増員そのものが法曹制度を崩壊させたという現実を認め、早晩、1000人以下に減員することが求められています。
これを長引かせれば、現場に混乱だけを与え、より一層、深刻な事態を招くことになります。1000人まで減員させれば法科大学院制度そのものが成り立たなくなりますが、文科省は法科大学院側の利権に配慮していては手遅れになるだけです。
日弁連談話
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平成26年司法試験最終合格発表に関する会長談話」
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