法科大学院制度 補助金の削減 適正配置の崩壊

　今年度の司法試験の合格発表がありましたが、法科大学院別の明暗は、はっきりと分かれました。
　今回、一番重要なのは、文科省が補助金の削減を実施することです。
　最低評価を受けた法科大学院は、補助金が５０％、翌年は１００％の削減され、もはや独自の存続の道はなくなりました。
　この対象となった法科大学院は、その地域には別の法科大学院がありますから、適正配置という観点からは問題はありません。

　問題は、補助金の基礎額が６０％とされた法科大学院です。
　一応、補助金の加算等はあり得るということですが、現実には厳しいものがあります。
　そうなると財政的に破綻することは必至であり、早晩、学生の募集停止に追い込まれることになります。
　６０％の対象となった法科大学院の中で問題になるのは以下の法科大学院です。同一の県内に法科大学院がありません。
　　金沢大（石川県）
　　静岡大（静岡県）
　　広島大（広島県）
　　熊本大（熊本県）
　　山梨学院大（山梨県）
　適正配置の観点からは、黄色信号といえます。

　赤色　存続するであろう都道府県
　青色　募集停止の県
　黄色　来年度以降、存続が危ない県




　ここから募集停止をした県を除くとこうなります。



　結局、法科大学院が残るとなると、このような状況になります。


但し、北海道の実情はこれ、黄色が通学圏内

　適正配置とは、ほど遠い状況になりました。
　このような状況のもとでは予備試験が不可欠となりますが、本来的には、法科大学院制度を廃止することが必要でしょう。
「適正配置が破綻した法科大学院制度　制度の廃止しか選択肢はない」

　学生の募集停止が相次ぐ中で、適正配置を実現するということは、一部地域の募集停止になった法科大学院を再開するということなのですが、そのようなことが現時的に可能でしょうか。この現状から法科大学院を全国に適正配置していくこと自体が不可能と言わざるを得ません。

　しかし、日弁連や経済界が適正配置を主張しています。
「経済同友会の提言　予備試験の廃止と法科大学院制度」

　日弁連は適正配置を主張して既に何年も経っているにも関わらず、適正配置の青写真を描けていません。というより、描けるはずもないのです。法科大学院制度を推進する日弁連が具体的な青写真を提示できないことこそ、法科大学院の適正配置が不可能であることを何よりも物語っています。


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