自分の頭で考えることを教わるのが法科大学院？ 今まで自分の頭で考えたことがなかったのだろうか。

　北海道新聞2014年12月1日付夕刊に「法科大学院　魅力アピール」という記事がありました。
　何を今さら法科大学院に魅力なんかあるわけがないでしょ、という根源的な問題はさておき、そこで語られていることに仰天させられます。

「丸山治北海学園大学教授が「暗記ではなく、自分で考える力を付けることが大切。インプットとアウトプットを繰り返すことで知識は定着する」と述べた。」

　驚きです。今まで司法試験予備校がやってきたことです。これを法科大学院という学府が、二番煎じのようなことをやり、しかも、未だにこれを魅力としてアピールしているのですから、レベルが低すぎて話になりません。
　むしろ、このような発言を繰り返し発言している大学教授こそ、自分の頭で考えているのでしょうか。
　自分の頭で考えないレベルで、試験が通用するはずもないということくらい、当然にわかっていなければならないことだし、知識を詰め込めば司法試験に合格できると思っていたら、それ自体で、不合格が保障されるレベルのものです。
　今まで、自分の頭で考えたことがないことを告白する恥ずかしいレベルであることを自覚された方がよいと思います。

　この記事との関連でいえば、現在、行われている法曹養成制度改革顧問会議でのとある弁護士のプレゼンも同様のものでした。
　議事録（PDF）
　

法科大学院の授業では、先生と生徒で双方向の授業を行うことによって、自分の頭で考えて発言し、基本から考えるという法的思考力が鍛えられました。また、体系的に理論を深めつつ、実務との架け橋を意識した教育を受け、法律的な思考力を身に付けることができたことから、当時持っていた知識が点から線になって、一気に全部つながったように感じました。目からうろこが落ちたという表現で分かっていただければと思っております。そして、旧司法試験の受験勉強では知識を詰め込むだけの勉強であったのだなと、とても反省いたしました。

　これでは司法試験に合格できないということがよくわかる認識です。
　その程度のことであれば、旧試の時代から当たり前のことのように言われていたことで、考える力がなくして、知識を詰め込んで、一体、何がしたいの？　という本当に初歩レベルなのですが、このプレゼンをした者には、その自覚もないのが驚きであるし、何よりも、この顧問会議のメンバーが、最高のプレゼンと持ち上げていることに、この集まってきた（集められた）メンバーの底の浅さが透けて見えます。
　法科大学院制度を持ち上げたいがばかりに、この「自分の頭で考える」という程度のことに、みなで誉め上げ、自画自賛しているのです。

　これ自体、本当であれば、日本の教育制度そのものを憂えなければならない状態であり、その自覚がまるでありません。
　日本社会が自分の頭で考える人間を育て来なかったことのつけであることを自覚し、そのことを恥じるべきでしょう。


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