関心がないから棄権？ 政治的無関心が呼ぶ政治の独裁

　衆議院議員選挙が公示され、12月14日には投票となります。
　大手各紙が報道したところによれば自民党単独で300議席を超える勢いというように言われています。
　この背景には、投票率の低下も加味されていると思われます。衆議院選挙のみならず、選挙の投票率は年を追うごとに低下の一途です。
　今回の衆議院選挙は大儀がないと言われていますが、選挙が行われる以上、棄権という選択肢はありません。
　橋下氏が自作自演のために大阪市長を辞職して選挙を実施した場合とは全く意味が違います。そのときは各党は候補者を擁立しなかった選択肢は正しい選択です。
「出直し大阪市長選挙で「不戦敗」　これは橋下氏の勝ち？」

　安倍総理が今後4年間でやりたいというものは既に明確になっています。
「安倍氏による衆議院解散の大義　見透かされる党利党略　自民党の「争点」はこれ！」
①消費税は1年半後にはどのようなことがあっても10%に引き上げます。
　庶民の懐具合など考えたりしません！
②憲法9条の解釈改憲。集団的自衛権解禁します。米国の要請があれば、世界のどこにでも自衛隊を派兵します。
③原発は再稼働させます！
④沖縄県民の意思は無視します。
⑤アベノミクスの効果（結果）には責任を持ちません。

　マスコミもその当たりはほとんど指摘しませんし、自民党議員候補者に至っては、黙りです。街角にたって、「国防力を増強しよう！　国防軍を創設しよう！」と声高に叫んでいる候補者がいるのであれば、是非、名乗り出て頂きたい。
　自民党自身が争点隠しをしているのです。
　ところが安倍自民党は大勝すれば、必ずすべての争点が信任されたと強弁します。
　かつて、大阪の橋下氏は自分が市長に当選したら、大枠は示しているんだから政策決定については白紙委任だなんて述べていました。
（朝日新聞2012年2月12日付インタビュー記事）

　安倍自民党のやり方は、橋下氏よりも、明らかにひどいレベルです。
　橋下氏の白紙委任だという考え方そのものいは賛同できませんし、極めて危険な発想といえますが、それでも橋下氏は、従軍慰安婦問題やら性風俗売り込みなど、良くも悪くも露骨に語っています。
　それに引き替え、安倍自民党ときたら、争点隠しだけでなく、2年前の選挙や沖縄ではウソを尽きまくっていた候補者ばかりなのです。
「本音剥き出しの沖縄自民党議員　いや単なる嘘つきだ」
「TPP交渉参加　TPP反対を訴えた自民党議員は本気で闘う気があるのか」

　これで当選してしまえば「白紙委任」と言わんばかりの行動をとるのですから、議員としてだけでなく、人としても失格と言わざるを得ません。

　他方で、有権者が安倍自民党にいくら批判的であっても行動にとらない限りはその意思表示はできません。
　地方の業界票や学会票に支えられた組織票は投票率の低下によってこそ浮上してくるものです。
　小選挙区の中には、共産党以外の候補者がいない選挙区も多数に上っていますが、これはまさに野党の準備（力）不足が突かれた結果ともいえます。
　当選しそうな政党を渡り歩く人たちによって離合集散してきた政党では当選の見込みが全くない、その可能性が低いということになれば、候補者を擁立することすらできないという事態に陥ります。その意味では準備不足だけは片付けられない問題も内包しています。
　とはいえ、有権者にしても選挙区で批判票として共産党には投票したくなかったとしても少なくとも比例区では選択肢はあるわけですから、そこまで放棄するのは単にめんどくさいという動機だけですから、その程度であるならばあまり政治に対して偉そうなことは言うべきではないでしょう。
　ましてや選挙への関心の低さの責任を政党に押しつけるのは恥ずかしいことと知るべきです。
　ときとして各政党が有権者に感心を持たせて来なかったかのように批判することがありますが、決して政党側だけの問題ではありません。
　というよりは、安倍自民党にとっては国民の政治的無関心こそが自分たちを相対的に浮揚させる潜在的な「支持」層なのですから、関心を引き起こすようなこをするはずがないのです。

　閉塞感漂う時代の中で、自分にゆとりがなくなり、自分のことしか考えられなくなりつつある時代だからこそ、大局的な視点で政治についても考えたいものです。


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