法科大学院がまた1つ募集停止を決めました。愛知学院大学ですが、もともと同大学院への志望者は少なく、文科省からは廃校指定校の扱いを受けていましたから、募集停止になったとしても誰からも驚きの声が出ることはありません。
むしろ、黒猫さんのいうような税金泥棒と言った指摘の方が正しいと思います。
「
愛知学院大学法科大学院,募集停止を公表」(黒猫のつぶやき)
法曹養成制度改革顧問会議での議事録を読みました。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hoso_kaikaku/dai13/index.html この中では、
文科省から義本博司審議官が次のような説明をしているところに注目しました。
「特に
北海道と東北についてはなかなか法科大学院がない(ということもございますので)」
そうです。北海道に法科大学院があるといっても、北海道大学と北海学園大学(文科省から既に廃校指定校扱いになっています)がありますが、所在地は札幌です。
北海道は広いのです。地裁(本庁)も4つあります。
北海道における法科大学院の配置は以下のようになります。
「
法科大学院制度 補助金の削減 適正配置の崩壊」

赤が札幌市、黄色は通学可能な自治体ということになります。
文科省も北海道と東北では法科大学院がないに等しいことを認めているのです。
これは既に全国への法科大学院の適正配置が不可能であることを認めたということでもあるのです。
他方で、ICTの活用だそうです。情報通信技術の活用によって遠隔地でも法科大学院の授業に参加できる方法なのだそうです。
同審議官の説明は次のとおりです。
「ICTにつきましては、今、技術的に進んでいますので、かなり離れた形で、例えば通信教育でされば全てを単位としてやる、あるいは通常の課程においておの半分を単位としてやることは制度的に可能ですけれども、実際上、教育の手法として、効果としてどうなるんかという議論が現場の先生にはございますので、まずは公的資金でICTの取組をやるところについては支援する形で進めさせていただきたいと思いますし、実際上、そういう学校はございます。」
法科大学院は双方向授業が売りでしたから、遠隔地で授業に参加などというのは自己矛盾そのものです。そのようなICT技術で遠隔地でも可能というのであれば、そもそも全国への適正配置など無用、税金の無駄遣いと言わざるを得ません。
そして、重要なことは、法科大学院における双方向授業の意味は、水準の低い学生のレベルを全体的に底上げを図ることが目的です。
「
法科大学院は法曹養成制度の中核たりえない」

司法試験の合格者数を増やす以上、底辺は格段に広がっていくのです。その底上げが絶対の役割である以上、そこを疎かにするわけにはいきません。ましてやそれを遠隔操作のごとく遠隔地でどうこうした程度で水準が上がろうはずもありません。
従って法科大学院制度そのものの破綻が明らかになったということなのです。
その法科大学院制度改革ですが、文科省のプランがお笑いです。
題して「文部科学省における法科大学院の強化と法曹養成の安定化に向けた抜本改革の推進」
そこで示された主な改善方策案
◎入学定員を着実に削減するとして
27年度に3175名まで削減(ピーク時の約半減)
28年度以降も更に削減を目指すが、数値目標については法曹人口調査の結果に基づいて算定
というものです。
既に
来年度の実入学者数は2000人を切るであろうと言われている中で、これを抜本改革だと自画自賛しているのですから、文科省には、もはや改革能力がないことを公言しているようなものです。
しかも法曹養成制度改革顧問会議の座長である納谷廣美氏は、何と
予備試験の制限問題を蒸し返してきたのです。
何としても予備試験を制限し、法科大学院制度を守りたいという思惑だけで制度をいじろうとしているのですから、これほど身勝手な人はいません。
「
司法試験予備試験をどのように位置づけるのか 法科大学院を守るための予備試験制限は許されない」
一度、握った利権は手放さない!
これが文科省の姿勢なのです。
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