小樽市で起きた、飲酒の上のひき逃げ事件。
「
RV車の無法を許してはいけない 小樽市で起きた4人が死傷する事故はRV車によるひき逃げ 飲酒と携帯への依存症」
その判決が先日、札幌地裁でありました。
求刑22年に対し、判決は求刑通り22年。
毎日新聞の記事を前提にしますが、どこかがおかしい。
「
小樽ひき逃げ事件:32歳被告に求刑と同じ懲役22年判決」(毎日新聞2015年7月9日)
この事件は当初、検察は過失致死傷罪と道交法違反などで起訴されましたが、その後、被害者遺族が危険運転致死傷罪の適用を求めて署名活動、地検は同罪への訴因変更を求め、地裁が許可したというものです。
当初は、検察官は飲酒による影響を受けたものであることの立証が困難ということで過失致死傷罪での起訴になったものと思います。
判決は、危険運転致死傷罪の適用を認めました。
ところがその判決理由ですが、次の一文が気になります。
「何の根拠があって酒の影響がないと言い切れるのか理解に苦しむ。単なるよそ見というレベルからかけ離れている」(前掲毎日新聞)
何の根拠って、即ち、立証のことだと思いますが、検察官が立証責任を負っているのではないですか。これでは被告人に立証責任を転嫁しているようにしか読めません。
全体が全く逆のようであり、違和感があると言わざるを得ません。
その結果、当初、検察官は飲酒の影響についての立証が困難とみていたものが、何故か、立証責任が被告人に転嫁されてしまっているのです。
しかも、後段の「単なるよそ見というレベルからかけ離れている」とは何を指しているのかこの記事からは判然としませんが(日経新聞の記事では、「被告は時速50~60キロで車を走行させながら、15秒から20秒程度、スマートフォンを見るために下を向いていた」ことを理由にしていますが、そのようなひどい「ながら運転」は飲酒をしていなくてもよく見かけます。もちろんノロノロ運転が多いですが、それは街中だからでしょう。)、どうにも結果がひどいのだから、というようにしか読めず、そこにきちんとした検察官の立証への検討があったのかどうか疑問を感じざるを得ません。
判決は、求刑一杯の22年でしたが、先の量刑に関する最高裁判決(一般からかけ離れたような量刑とする場合には特別の理由が必要としたものですが、要は、量刑相場の遵守を求めるもの)があったことから、求刑を上限としたのではないかと推測されます。
ひどい事件であったものの、裁判員裁判の問題点が如実に表れてはいないでしょうか。
個人的な意見としては、携帯などの「ながら運転」にも危険運転の罪(ないしは準ずる罪)を導入すべきではないかと思います。
控訴審判決について
「
小樽:飲酒ひき逃げ事件の控訴審判決 原審をなぞるだけのもの」
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