人によって変わる価格の不公平 多くの消費者が一部の顧客の値引きを補填する

　先般、ヨドバシカメラの販売方法についてエントリーしましたが、別の視点からの問題提起がありました。
　コメント欄で紹介して頂きました。ありがとうございました。
「ヨドバシカメラでのポイント還元商品　対象外の説明は後からでいい？　その２」
「ヨドバシでまさかの店頭価格から２万円の値引きに思う。値引きは客を不公平に扱う最悪のサービス」（ブロガーかさこの好きを仕事にするセルフブランディング術）

　店頭で表示されている価格ではなく、そこから２万円単位で値引きしてくれたことについての驚きとそこで得をしたという感覚よりは、これまで損をさせられていたのではないかという気持ちにさせられたという気持ちが述べられています。
　私も同じような感覚になりました。
　ヨドバシカメラは量販店であり、不特定多数の消費者に販売する、その中で個別に値段を設定（要は値引き）ということになると、不公平感が増します。
　値引きの対象となる場面は想像はつきますが、店員の説明を聞きながらなお購入の決断をしない客、他の量販店の価格を示して値引きを迫る客などを対象に「値引き」となるのでしょう。
　店頭の広告表示で他店の販売価格について云々というものもありますから、ヨドバシカメラ側としては告知しているということなのでしょう（あまりはっきりと覚えていませんが…）。
　ただ、それでも不公平感がぬぐえないのは、結局のところ、何も言わない多くの消費者には「高額」の価格で販売し、一部の少数の客に対しては値引きするという結果に対してです。値引き分を他の多数の「高額」購入者からの購入によって「補填」しているということなるからです。
　逆に「値引き」された客が多数であれば、その表示方法に問題があります。

　インターネットの発達により価格の比較が容易になったこともあって、確かに価格競争が値を引き下げていますし、買う側も調べやすくはなったともいえますが、仮にネットなどで調査し、価格交渉がなされるのが全体の傾向だというのであれば、店側こそ商品の他店での値段を調べつつ対応すべきものでしょう。
　極論すれば、客がヤマダ電機の方が安いというのであれば、「そちらに行ってください。」ということになってもおかしくはないわけです。客はそこからさらに離れたヤマダ電機に行くのかどうかの選択を迫られるわけですが、逆にいえば、その程度のことで値引きするのであれば、当初の価格の表示自体がインチキということです。

　私の事務所で利用している判例検索ですが、ついこの間までは、個別の事務所によって毎月の利用料が違っていました。
　セールストークでは、必ず「他の弁護士には言わないでください！」でした。
　他社との競争で、どちらの業者の判例検索を導入するかで迷っている弁護士に対しては価格を引き下げるわけです。
　しかし、実は本当に引き下げているのかどうかもわかりません。
　私は、個別に価格が違うことに納得ができない、と担当者に伝えたところ、あまり期間を置かず、一律になりました、という営業連絡が来ました。
　それまで1万数千円だったものが何とその半額です。
　最初からこの価格での提供が可能だったのかどうかはわかりません。15年前まではインターネットを利用したものではなかったため相応のコストが必要だったことから割高でも仕方ないと思いましたが、弁護士の人数も増え、利用者も格段に増えた状況の下では、やはり「低額」と「定額」はその流れだったのではないかと思います。「他の弁護士には内緒で！」と言ってみたところで、当然にばれてしまうことも多々あるわけで、それなら最初から「低・定額」を設定すべきということになります。
（ヨドバシカメラとの違いは、判例検索の場合には継続的な関係になるという点です）
　どのような情報（判例等）を提供するかによって他社との違いを打ち出し、それが価格差ということであれば、選択のしようが出てきます。

　ヨドバシカメラのような量販店では、提供する品物は同じ、その差は価格のみということになれば、一部の消費者のみに「値引き」をすることにもなるのかもしれませんが、それでも多くの消費者への高額設定によって補填していることには変わりないわけで、値引くのであれば一律に「値引き」してもらいたいものです。
　携帯電話も同様の問題があったからこそ、不満が高まっていたといえます。
　0円携帯だったり、他社乗り換えの奨励金だったり、一部の顧客を獲得するために他の大勢の利用者がその分の負担をしてきたわけです。
　総務省というか、安倍自民党の意向を受けた高市早苗総務相が異様に張り切っていますが、これらは携帯電話利用者の圧倒的多数の不満の代弁でもあります。
「安倍氏の掛け声、企業への賃上げ、携帯電話会社への料金を下げよ。目先のエサに欺されないで！」

　価格設定は公平にしてもらいたいものです。


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