相次ぐ高齢者による交通事故 このまま放置しておいて良いのですか。自動車業界に媚びるのではなく、車優先社会を転換させませんか

　昨今、高齢者による事故が相次いで報道されています。

【事件１】2016年10月27日、87歳の男性が運転する自動車が登校中の児童の列に突っ込み、小学1年生の児童が死亡。認知症の疑いあり。

【事件２】11月11日　80代男性が運転する自動車がコンビニに突っ込み、2人が負傷。「タバコをくれ。」認知症の疑い。

【事件３】11月12日　83歳の女性が運転する自動車が歩行者2名をはね死亡させる。
　認知症の疑いなし。ブレーキとアクセルを間違えた疑い。

【事件４】11月13日、82歳の女性が運転する自動車が横断歩道上の女性を左折する際にはね、死亡させる。認知症の診断はなし。

　高齢者の免許保有割合も日本の高齢化社会を反映して増加の一途です。
　高齢者に対する免許の更新は次のとおりです。
警察庁ホームページより
「更新の際には、更新時講習を受ける必要があります。(高齢者講習、特定任意講習等を受けた方を除く。)
注　更新期間が満了する日に70歳以上の方は高齢者講習を受けていないと更新できません(更新期間が満了する日に75歳以上の方は、講習予備検査を受け、その結果に基づいた高齢者講習を受けることが必要となります。)。」

高齢者講習
　高齢者講習では、高齢運転者の運転特性や交通事故実態についての重点的な講義を行うほか、運転適性検査器材を活用して身体機能の変化を自覚してもらい、その結果に基づいた安全運転の指導を行うとともに、危険回避等の実車訓練を実施しています。

特定任意高齢者講習
北海道警察ホームページ参照

講習予備検査(認知機能)について（警察庁ホームページより）
「運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に講習予備検査を受けなければならないこととされています。」

　認知症の検査の義務づけについてはいろいろと条件が定められており、当然に検査を受けなければならない制度にはなっていません。
「現行では、７５歳以上の免許更新時に認知機能検査を行い、「認知症の恐れがある」（１分類）▽「認知機能低下の恐れがある」（２分類）▽「低下の恐れがない」（３分類）に分ける制度を実施。１分類のドライバーが交通違反をすると医師の診断を受けさせ、認知症と診断されると免許を取り消す。
　しかし１分類でも交通違反がなければ免許取り消しがないうえ、２、３分類については違反をしても次の免許更新時まで認知症検査を受けることがない（略）ため来年３月施行の改正道交法では、１分類であれば交通違反がなくても医師の診断を求め、２、３分類についても交通違反があれば診断を義務づけるという内容に制度を変えた。」（毎日新聞2016年11月13日）

　このような制度のままでは第二、第三の犠牲者を生み出すことは必至です。
　自動車の追突防止システムなどの開発が急がれるというマスコミの主張もありますが、今、現在、起きているこの重大問題を放置するということにならないし、どんな安全システムが開発されようとも、車を操作するのはあくまで人であることを忘れてはなりません。
　私自身の見解は、一定の年齢以降は運転技能検査を導入するか、一定年齢以上の高齢者の免許は取り消すべきというものです。
「高齢者に対する運転技能検査を導入するか、一定年齢以上の高齢者の免許を取り消す時期がきた」

　技能講習など、現実の運転免許の取得レベルをみればわかるとおり、ほとんど機能していないといってもよいくらいです。車を動かし、止められれば免許が取れるというくらい、甘いものです。教習所による技能試験の免除の在り方は運転技術の質の担保には全くなっていません。
　高齢になれば認知症でなくても確実に反射神経など鈍ります。しかも現状では、高齢者であろうとなかろうと、ほとんど技能がなくても免許が取れてしまうことが大前提になっており、このまま高齢を迎えれば非常に恐ろしいことになります。
　しかも高齢者特有の問題は、日々、身体能力、判断能力が低下し続けるだけであり、更新時までの間、日々進行している問題なのです。

　だいたい車の運転をする人たちの運転は、一時停止もしないとか徐行すべきところでも徐行をしない、というように技能だけでなくモラル（本来、禁止や命じられている以上、モラルの問題ではないのですが）もひどいレベルの運転者が多すぎます。こういった人たちが高齢になって運転もしているというのが現状です。
「一時停止は止まらない、横断中の人がいても止まらない、歩行者は眼中にない車たち　罰則強化と試験制度の改善が必要」

　運転技能が低い人に限って、自分が下手だという自覚もないということも決して少なくないでしょう。人を殺す凶器であるということの自覚が足りないのです。
　もちろん中には高齢であっても最低限度の運動神経を持ち合わせている人もいるでしょう。しかし、圧倒的多数はそうではないのです。

　高齢者に車の運転を禁止してしまっては移動手段がなくなるではないかという意見もあります。
　しかし、それは高齢者に免許を与え続けておく理由にはなりません。
　もともと、車の普及によって公共交通機関はかなり苦しい経営を強いられています。その筆頭がＪＲ北海道なのかもしれません。
　自動車が売れればいいという露骨な政策によって道路ばかりが整備され、鉄道はズタズタとされました。自民党政権が押し進めた地方切り捨ての政策が地方の鉄道やバスを廃止させていったのです。
「ＴＰＰ問題、地方の人たちは何故、何度も自民党に欺されても投票を続けるのだろう　国鉄解体のときもそうだった」

　地方は自民党の強固な支持基盤であり、自業自得と言えなくもありませんが、それはさておくとしても、自動車の便利に慣れてしまって単に公共交通機関を利用してこなかったことのつけとも言えます。

自民党とその支持者によってズタズタにされた北海道の鉄道　残るのはこれだけ？



　高齢者だけの問題ではなく、それ以外の層も確実に高齢者になっていくわけですから、人ごとではありません。
　高齢者の運転免許を規制すると同時に、使いやすい公共交通機関の整備も重要です。根本的には車社会からの転換が必要なのです。
　車の安全のためのシステムに依拠するという発想は、安全対策に主眼があるというよりも、自動車を売り続けるための対策にしか見えません。

　最近、私は市内の移動などにも公共交通機関を利用することを心掛けるようにしてみました。
　思いのほか便利だし、楽です。郊外になると確かに自家用車の方が時間が掛からないということはあり、すべての面において公共交通機関が勝っているわけではありませんが、慣れの問題だと思いました。
　札幌市内のことですが、全市のバス路線図がネット上では見当たりませんでした。こうなると地元の人しかどのバスに乗ってよいのかわからなくなってしまいます。できればこのようなところからも工夫してもらいたいものです。
　バスを利用して思ったのは本当に利用者が少ないということです。バス路線の縮小にもなりますし、悪循環の極みですが、現在、高齢者による事故の多発という状態に直面したのは、車優先者会のつけを負わされているということ、この自覚が必要です。


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