自民党、公明党、民進党などの賛成により、改正出入国管理及び難民認定法(入管法)と外国人技能実習適正化法が可決され、外国人が介護士として就労することが全面解禁されました。
介護の分野で大幅に人手不足となると見込まれ、10年後にはその不足は38万人にもなるという算定だそうです。
不足していることの背景は、日本人労働者が介護分野で働くことを敬遠しているからですが、その原因は言わずと知れた、職務が過酷なのに、賃金はあからさまに低いということです。労働の対価としては全く見合ってなければ敬遠されるのも当然の結末ですが、一昔前のように「仕事なら何でもあるんだから働け!」という時代ではなくなったのです。
これ自体、労働者、国民の権利、自由を当然の前提としているという意味では進歩です。
しかし、外国人労働者で補おうというのは本末転倒です。
要は日本人なら「低賃金」で見向きもされない仕事を外国人にさせるというものです。
しかも技能実習についても介護の分野でも解禁するというのですから、日本人よりも、さらに一層「低賃金」で雇用しよう意図があからさまですから、やることが最低も最低です。
これまで技能実習制度は、建前は途上国に対する技術の移転ということになっていますが、その実質的には労働力の不足を補うためのもの奴隷労働制です。
ブラック企業での労働が奴隷労働と揶揄されるのであれば、技能実習生はまさに
奴隷そのものの扱いです。
近時、技能実習制度についてこのように報じられています。
「
14時間労働、無休で月15万円…技能実習、過酷な現実」(朝日新聞2016年11月18日)
「仕事は婦人服の縫製で、基本給は約11万8千円。日々の残業代は1時間目のみ905円。2時間目以降は1時間あたり550円で、最低賃金を下回っていた。休みなしで働いても月収は約15万円だった。」
よくも人としてこのような奴隷労働をさせることができるなと思いますが、根底には差別意識もなければできないものですが、技能実習制度そのものが、このような奴隷労働の温床となっているのが現実です。
法務省が「実習生は労働力」と記した監理団体のホームページの記載を削除するよう要請したとも報じられていますが、実態と建前が崩壊していることを如実に示しています。
「
「実習生は労働力」削除を…法務省、監理団体に」(読売新聞2016年11月17日)
「途上国への技術移転を目的とする外国人技能実習制度を巡り、法務省が8月以降、実習生の受け入れ窓口である全国の「監理団体」に、ホームページ(HP)上の「労働力の確保」などの表現を削除するよう文書で要請していたことがわかった。」
現場では労働力の確保だし、奴隷の輸入なわけです。
現場での声も上記読売記事は、このように伝えています。
「監理団体から「制度の実態は労働力の確保だと、皆がわかっているのに」と戸惑う声」
あまりにも露骨なのですが、この制度の実態が如実に表れています。
今回、適正化のための法律が通ったということになっていますが、実態を無視した技能実習制度を温存しているわけですから、改善につながるはずもありません。
この適正化のための法律も中身はありません。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/189-16.pdf
高齢化が著しい日本社会ですが、この介護のための労働力の不足は高齢化だけが原因ではありません。若い人が何故、こういった職種につかないのかという問題から目をそらしているようでは、さらなる高齢化社会を乗り切れるはずもありません。
日本全体が劣化しているという現実にも目を向けることなく、大国であるかのような妄想に取り付かれているのですから、目も当てられません。
「
介護だけじゃない トラック運転手が不足 日本はあらゆる分野で劣化している」
介護分野だけでなく、至るところで人手不足が言われています。
従来、建設現場の日雇いなども、仕事がないときに「仕事なら何でもあるんだから働け!」というときの対象になっていました。今やそれすらも外国人労働者によって賄われている状態です。
24時間営業が便利だというのですが、それを下支えしているのが中国人留学生だったりするのですから、もういい加減に日本の国力のレベルを知るべきでしょう。
ロイヤルホストは24時間営業を来年1月に全面廃止するそうですが、常識レベルとして考えた方が良いものです。
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