カジノ構想（IR）は、ギャンブル依存症の救世主？ パチンコが合法とする政府見解もカジノ構想も日本経済の末期症状

　現在、国会では、カジノ構想を推進する自民党議員を中心にして提出された「統合型リゾート（ＩＲ）整備推進法案」（カジノ法案）が審議中になっています。
　民進党が審議入りに反対、共産党は法案そのものに反対するという中で、会期大幅延長が浮上してきています。
　そうなると、どさくさ紛れにこのカジノ法案が成立してしまう危険が出てきました。
「＜国会＞会期延長幅が焦点　大幅延長ならカジノ法案成立も」（毎日新聞2016年11月23日）
「大幅延長になれば、カジノを中心としたリゾート施設の整備を促す「統合型リゾート（ＩＲ）整備推進法案」（カジノ法案）成立の可能性も高まる。同法案は民進党の反発などにより審議入りが実現していないが、民進党内の推進派は２２日、法案成立を目指す議員連盟を２４日に発足させることを決定。二階氏は会見で審議入りに向け「機が熟しつつある」と述べた。」

　パチンコや競馬などのギャンブルが、ギャンブル依存症という社会問題を引き起こしていることは周知の事実です。
　公明党などが慎重姿勢を見せている事情の1つです。
　もっとも法案を通したいだけの人たちは口先だけでもギャンブル依存症対策を口にします。
　しかし、本音ではカネの掛かることは全くやりたいとは思っていません。
　パチンコや競馬が放任されている状態をみれば明らかです。
　先般、政府は、パチンコは合法であるという閣議決定までしました。これで警察は射幸性を煽っているということでパチンコ業界に介入したこともありましたが、政府が「合法」としてしまった以上、今後、警察の介入は難しくなりました。
　ますますギャンブル依存症が増えていくことでしょう。

　さて、そのような中で、ギャンブル依存症に取り組む方のブログを読みました。
「IRをきちんと審議して欲しい！です」（in a family way）
「推進派の先生方は、
「IRを通して、置き去りになったギャンブル依存症対策を推進する」
つまりカジノとバーターで、ギャンブル依存症対策をやる！とおっしゃっています。」

　だからカジノ法案を審議してくれというのですが、これでどうしてギャンブル依存症対策が進むのでしょうか。
　ギャンブル依存症対策だと声高に叫びながら、カジノ法案に反対しないという姿勢には正直、驚きを禁じ得ません。
　カジノ法案が審議されても、ギャンブル依存症対策が空文化するのは明らかなのです。
　カジノ法案の推進者たちは社会的批判をかわすために「依存症対策」と言っているだけですから、本丸さえ承認（成立）すればそれでＯＫなわけです。
　カジノ法案が成立してしまえば、もはやギャンブル依存症など顧みらることはありません。

　泥棒が見逃がしてくれたら盗ったものを返すというから、信じてドアを開けて逃がしてやったら、盗ったものを返してくれなかった…

というようなものです。
　このような誤解はよく陥りがちです。
　特に誰がどのような観点から言っているのかという視点がすっぽりと抜けてしまうと陥りがちです。
　例えば、稲田朋美氏が福祉を口にしたとしても、決して自民党である稲田氏が福祉政策を実現するために尽力することはないということです。福祉を破壊してきたのが自民党であり、その自民党の議員である（しかも極右の）稲田氏が福祉と言ってみても何の意味もないことくらい自明なのですが、中には賛同してしまう自称中道左派もいるのです。
「子どもの貧困の是正の実現は、駒崎弘樹氏のように極右稲田朋美氏を持ち上げることではない」

稲田朋美氏を持ち上げても福祉が実現することはない



　このギャンブル依存症問題を考える方も、駒崎氏もそうですが、自分の取り組んでいる問題にしか目に入らないものだから政治状況を大局的に判断することができなくなってしまっています。特定の分野のエキスパートなのかもしれませんが、明らかに視野が狭いと言わざるを得ません。

　カジノにせよ、パチンコ、競馬もそうですが、そこからギャンブル性を取り除いてしまったら、全く相手にされない程度のものですから、社会的には有害でしかありません。
「カジノ構想に断固、反対する　経済的に見合わないギャンブル」

　アベノミクスもいよいよ失敗も明白になり、カジノのようなギャンブルに手を出すようでは日本経済も末期症状です。カジノ構想そのものがギャンブルであり、しかも失敗が目に見えているという意味でもギャンブルと同じなのです。

　カジノ法案が通ってしまったら、ギャンブル依存症の方が増えこそすれ、減ることはないでしょうね。


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