今年3月に日弁連では臨時総会が開催され、総会の定足数を設ける規定が提案されます。現在の日弁連では総会に定足数がなかった、ということを実は私は昨年末に知りました。
定足数自体、当然にあるのだろうと思い込んでいたということですが、何とも恥ずかしい限りです。
執行部が提案することになったきっかけは、日弁連が先の人権擁護大会において死刑廃止宣言を採択した際、その人権擁護大会に定足数もなければ委任状出席も認めない、ということが廃止宣言に反対する一部の会員から言われたことです。これ自体、言い掛かりにすぎないのですが、総会に定足数がないこと自体は、私も驚きでした。
総会は日弁連の最高意志決定機関ですから、そこに定足数がないというのはやはり問題です。
従来であれば、会員であれば当然に参加する(委任状も含め)ということで定足数など問題にはなりえなかったのかもしれませんが、会内民主主義を確保する意味でも定足数はあって当然のものです。
先般、この定足数を設けることに反対する会員有志のファックスが流れてきました。
「日弁連総会の定足数新設の会則変更に反対する声明」ですが、取扱者は、あの愛知県弁護士会の鈴木秀幸氏です。
「
司法試験合格者数の減員運動を分裂、妨害することだけを目的とした鈴木秀幸氏を批判する」
その論旨は次のとおりです。
①執行部は少数の会員で決めてしまうのは問題だとするが、少数の会員で決せられたことなど今までない。
②定足数を設ける狙いは批判派の口封じ、弁護士有志がどんなにがんばっても委任状を含めても5000人は確保できず、執行部派が出席しなければ流会になる。
③総会に参加するかしないかは自由であり、参加者が5000人に満たなくても総会の成立を否定する必要はない。
④総会招集は、会員の300人が集まればできることになっているが、狙いはこの会員招集権の敵視だ。
かなり特異な見解です。
①については普通は執行部が多数でもないのに、自らの意見を提案し、多くの会員が「無関心」な中で少数で決してしまう、これをもって少数の会員で決めてしまうことの問題だとして、どの組織でも普通は定足数が設けられているのです。
従って、
定足数は執行部派の暴走防止の意味があるのであって、この反対者たちが述べている論理というのはかなり特異なものです。
特に②で述べているような状況では、まずその提案が可決されることはありません。現在の日弁連は会員数35000人ですが、昨年3月に開催された臨時総会での採決の状況は次のとおりです。
執行部案
賛成10379
反対2948
棄権79
招集請求者案(今回、定足数導入に反対する鈴木秀幸氏が呼び掛けたもの)
賛成2872
反対9694
棄権190
確かに5000人には遠く及ばない数字です。
(上記の召集請求者案の投票数が減っているのは、途中退席者が増えたためです)
反対派は、執行部が流会戦術を採るなどと言っていますが、そのような流会戦術を採らなくても
粛々と否決あるのみです。何も流会戦術など行う必要もありません。
鈴木氏は、敵視という以前に相手にすらされていないということを自覚された方がよいと思います。
普通は定足数というのは執行部の暴走を押さえるためのものであって、少数派のためにあるものです。
つまり執行部が採決を強行しようというときに
少数派が退席して流会に持ち込むというものです。
このような観点からみたとき、日弁連執行部が提案した5000人というのはいかにも少なすぎるということの方が問題なのです。
会員数からみれば7分の1にすぎません。国会でも3分の1が定足数となっています(憲法56条1項)。
定足数を3分の1とすれば、現在の会員数を前提にすれば12000人の出席が必要ということになりますが、上記臨時総会の採択状況をみれば、反対派が退席すれば流会になります。
定足数を設ける意味はここにあるのですが、この定足数に反対する会員たちは、いかに特異であるかがわかります。
その意味では、この会員たちの定足数導入に反対する意見は、自分たちが少数派にも足りない「
ごく少数」であることを自認するようなものです。
臨時総会では鈴木秀幸氏らの提案は採択される可能性も最初からなかったというレベルなのですが、その意味では会員による招集が300人で足りるとすること自体があまりに少なく過ぎます。
この規定が設けられた当時は弁護士数も1万人にも満たなかったのではないかと思いますが(正確ではありません)、その中で300人というのは決して少ないということはなかったとしても今時の急激な会員数の増加の中では300人はいかにも少なすぎるのです。
鈴木氏は、議論することに意味があるという趣旨のことも述べていますが、採択の可能性が皆無なものを提案する前に
自分たちが「多数」になるための努力をまず先に行うのが筋であって、わずか300人を集めるだけで臨時総会を開催させるというのは、単に
組織全体を振り回しているだけという評価は免れません。
もっとも今回の日弁連執行部の提案である5000人という定足数はいかにも少なすぎるという意味では、私も賛成しかねるものではありますが、定足数を設けることには賛成する立場です。
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