司法試験合格者数が1543人 これでは合格者数ありき 法曹制度が危機的

　今年の司法試験の合格発表がありました。
　1543人の合格者数となりましたが、昨年度より40人、減っただけです。
　受験者数は、昨年度の6899人から5967人と大幅に減少しているにも関わらず、今年の合格者数が40人減に止まったことは、明らかに司法試験の選抜機能を無視した結果と言えます。
　そのため、合格率は、昨年度の22.9%から25.8％と大幅にアップしました。

　政府の法曹養成制度改革推進会議は、2015年6月30日、法曹人口の在り方について検討結果を取りまとめ、「司法試験合格者数でいえば、（中略）1500人程度は輩出されるよう、必要な取組を進め」るとしていましたが、今、法科大学院集中期間の真っ直中です。それにも関わらず、必要な取組が完了したかのように目標が達成されてしまっています。
　法曹離れが顕著になっていく中で、受験者層が縮小しているにも関わらず、今年の受験者のレベルが格段に上がるという現象は通常は起こりえません。数字ありきとだったということがわかります。

　法科大学院以外のルートとして予備試験があり、今年の予備試験組は290人、法科大学院組は1253人です。
　昨年度はそれぞれ235人、1348人であり、法科大学院組が95人の減少です。
　法科大学院入学者数は、既に平成29年度で1704人にまで減少しています。
　実入学者数といってもすべての学生が卒業するわけではなく、リタイヤしていく学生も一定数います。
　今年の司法試験合格者の中の予備試験合格者の内訳は法科大学院在学生が96人（昨年度86人）ですから、入学者1700人に対し法科大学院入学組の合格者が1350人となり、実入学者数に合格者数がかなり近づいたと言えます。
　来年度はさらに法科大学院への入学者数は減るでしょうから、司法試験の選抜機能は放棄されたに等しくなっています。5年5回の受験制限がありますが、早晩、滞留組はいなくなります。
　司法試験では、医師の国家試験のように試す試験ではなく、建前では落とす試験ということになっています。
　にも関わらず、ほぼ合格させてしまうという試験のあり方は、すべて法科大学院制度を守らんがためのものであり、法科大学院制度とともに法曹制度が崩壊していくという最悪の図式となっています。

「獣医師の質は国家試験で担保されているという嘘　需要に見合わない定員増は専門職の質を確実に低下させる」


ブログランキングに登録しています。
クリックをお願いいたします。


にほんブログ村

人気ブログランキング