大量懲戒請求が行われた件では、一部の弁護士が不法行為が成立するとして、個別に損害賠償請求を行い、提示額を支払わなければ訴訟提起すると通告するということをマスコミを使って大々的に流布しています。
これに対しては私は不当な請求であると意見を述べてきました。
「
大量懲戒請求を受けた者として述べる 大量懲戒請求に対する訴訟提起はかえって弁護士としての品位が問われないか」
また個別の不法行為が成立するものではない、共同不法行為になるのだから、かかる巨額の請求になることはあり得ないのではないか、個別に不法行為が成立するにしても過大な請求であることを述べました。
「
大量懲戒請求に対する不法行為は個別の不法行為という主張を検証する 明らかな過大請求はやめるべきだ」
最終的には大量懲戒請求を煽った「余命3年」を訴えることが目的のようですが、刑事事件はともかく、民事による賠償請求が可能なのかどうかです。
「余命3年」は直接、懲戒請求者には加わっていません。ネットを通じて懲戒請求者を募り、それを事務方としてとりまとめ、弁護士会に一括送付しています。
それ故に共同不法行為になると考えるのですが、実際に懲戒請求書を送った人たちについて個別にしか不法行為が成立しないとする見解に立ったとしても「余命3年」との間では「個別」であっても共同不法行為という構成に寄らざるを得ません。もちろん共同不法行為が別個に1000件あるという主張になるのかもしれませんが、しかし、特に首謀者である「余命3年」の場合には1つの行為がバラバラに評価されるのは実態にそぐわないものです。
「余命3年」はネット上で、懲戒請求を募り、懲戒請求者を束ねたという立場ですから、それ自体が1つの不法行為です。
個別の共同不法行為にしかならないとすると、「余命3年」の大しては訴訟になるでしょうから、訴訟基準である30万円計3億円という額を請求することになるのかということです。
共同不法行為だ、賠償せよという場合にはどう考えても損害が3億円にもなると思いますか。
3億円がどのような額かといえば死亡慰謝料が2000万円から3000万円ということを前提にすれば、
人が10人から15人も死亡した額に匹敵するものというものです。
既に何人かの弁護士が見解を示されたように300万円程度、首謀者であることを加味してもせいぜい500万円でしょう。
とりまとめをした首謀者とはいえ、それを弁護士会に送付した行為がそれぞれの弁護士に3億円もの損害を与えたと思いますか。そういった主張をしているのが佐々木、北両弁護士です。

他方で、佐々木、北両弁護士はその訴訟提起までにかなりの額を賠償金として受領していることになります。訴訟予告によって事前に和解を申し入れてきた人たちもいるが、まだ三桁には到達していないと述べています。50人から受領しているとしても250万円です。
もうほぼ損害は補填されたということにもなる額です。
個別に賠償請求を行っておきながら、なお、「余命3年」に対しても賠償請求をするのかどうか、注目せざるを得ません。
両弁護士の主張からすると5万円で示談した分の差額25万円は「余命3年」に請求できることになります。
この佐々木、北両弁護士ですが、とある方にこの賠償請求の仕方が弁護士としての品位を欠くものとして懲戒請求されたと報じられています。
「
大量懲戒請求された弁護士の提訴予告は「品位失う非行」 市民団体代表の男性が懲戒請求」(産経新聞2018年5月24日)
「東京弁護士会(東弁)所属の弁護士2人が、対抗措置として請求者を相手取り民事訴訟を起こす方針などを表明したのは「懲戒請求者を萎縮させるもので、弁護士としての品位を失うべき非行に当たる」などとして、市民団体の男性(63)が、東弁に2人の懲戒請求を申し立てたことが23日、分かった。申し立ては21日付。」
この記者会見前に損害賠償請求を考えているがどうかと
私にも打診(照会)がありました。
私としては本当にこれで損害賠償が訴訟上も勝てるのか疑問もあったことから、確実に勝たなければかえって相手にお墨付きを与えてしまうのではないかとという回答をしました。
私の頭にあったのは1円訴訟です。とにかく違法であることを認めさせること、それが抑止になるものと思っていたのですが、しかし、報道をみてびっくり、訴外和解なら1人5万円、訴訟なら30万円という額にカネ目的かと唖然としました。
総額で5000万円から3億円です。
これじゃとにかくやっつけろというだけじゃないかと、「私もやる!」なんて言えるようなものでは全くありません。
同じように大量懲戒請求を受けた他の弁護士ですが、「私もほしいけれど(笑)」とあったのはユーモアですね。
いずれにしてもこれらの請求は不当なやり方だというのが私の主張です。相手がなかなか争いづらい方法でとにかく広く多額のカネを集めようとするものであるし、あまりに過大な請求だからです。
ところで、年収を遙かに超える額、10人から15人が死亡した額に匹敵する額の賠償金を得た場合、それは収入として計上することになるのでしょうか。
さて、賠償請求ですが、個別の財産的損害を算定しての請求ということではなく精神的な苦痛を被った賠償、つまり
慰謝料請求ということになります。
慰謝料ということであれば収入には計上しないということになるのかもしれませんが、仮に3億円を手に入れても収入ではない??
収入ではないということは所得税を払わなくてもいいということなのですが、これをどう思いますか。
税務当局はどのように判断するのでしょう。収入計上するのが相当なのかも含め、きちんと対応して貰いたいものです。 この訴訟のための経費支出はありますが、全体からみればごくわずかですし、何よりも佐々木、北両弁護士は実費をまかなうと称してカンパまで募っています。それが700万円ともなれば、経費は十分にまかなえるし剰余は収入になるとしても「慰謝料」名目で「回収」した3億円はまるまる所得になってしまうことになります。
さて、これが正義のためですか、カネのためですか。
ブログランキングに登録しています。
クリックをお願いいたします。
にほんブログ村
人気ブログランキング
- 関連記事
-
スポンサーサイト