ますます自信を持つ裁判員？

　横浜地裁は、2011年6月17日、津田寿美年被告に対し、死刑判決を下しましたが、判決後に語っている裁判員たちの感想が異様に感じます。

　前回、横浜地裁で死刑判決が下されたとき、裁判長は、控訴を勧めていました。その後の裁判員の感想も同様でした。
　しかし、今回の感想は、神奈川新聞2011年6月18日配信によると、
　「会見に出た6人のうち、5人が「控訴しないでほしい」と語った。」とあります。
　前回の死刑判決とは、180度の違いです。
　この自信は、どこから来るのでしょうか。
　しかも、その理由は、「罪と向き合う」だそうです。
　しかし、手続きとしては控訴は当然の手続きであり、権利保障です。それが罪と向き合うと何故、重要な控訴権を行使するな、ということになるのでしょうか。そこにある発想は、適正手続きとは全く無縁です。犯罪を犯した以上、何をされても文句を言うなというものであって、このような発想の人たちに裁かれること自体が問題といえます。
　また、22歳の学生が裁判員だったということですが、もとより学生であれば辞退事由には該当しますが、辞退せずに出てきたこと、さらに22歳の若さという点にも違和感を感じざるを得ません。
　「市民感覚」が結局のところ、単に「有権者」であればよいという程度のものでしかないということなのでしょう。
　裁判員制度が「浸透」するに連れ、暴走する国民の一部が深化していくことに非常に危惧感を持たざるを得ません。
　もっとも、他方で、今年4月に行われた調査では、なお8割以上の国民が裁判員をやりたくないと言っていることに健全さを感じます。

※本日、元裁判員だったという方から電話連絡を頂きました（要旨）。
　「やるまでは、何とも思っておらず、呼ばれたから裁判所に行ってみたが、やってみて疑問に思い、ネットで検索したところ、「北海道裁判員制度を考える会」のホームページに当たり、そこで記載されていることは、その通りだ、経験もしていないのに、私が経験したとおりのことだった。驚いた。やってみて、この制度はおかしいと思いました。」
　なお一層、裁判員制度の問題に取り組みたいと思います。



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