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在京6紙社説を読む ~安倍麻生道路、忖度発言~ 2-1
【ポイント】
進歩系3紙:安倍政権は驕り緩んでいる。経緯を明らかにすべき。
読売・日経:安倍政権は驕り緩んでいる。結果を出していくべき。
産経:浅慮な塚田氏は罷免すべき。忖度は考えにくい。
とうとう辞任に追い込まれた塚田副大臣。統一地方選前半戦の投票日を7日に控え、在京6紙は4日~6日の社説で、この問題を取り上げている。
「安倍麻生道路」とも揶揄される下関北九州道路は、安倍政権の驕り高ぶりの象徴なのか?
各紙社説の概要を読んでいこう。
塚田氏辞任 政権のおごり改まるか(朝日4/6)
(塚田氏の副大臣)辞任は当然だ。これで幕引きではなく、国民が納得できる説明が必要だ。(塚田氏と吉田氏の面会)当時の記録を公開し、実際にあったやりとりを明らかにすべきだ。(塚田氏の発言は)忖度の事実がなかったとしても、地元への利益誘導で選挙戦での支持を集めようとしたことになる。(安倍)政権のおごりや緩み、政治責任を軽視する体質が本当に改まるのか、厳しく注視し続けねばならない。
忖度発言で副大臣辞任 首相は当初なぜかばった(毎日4/6)
(塚田氏の)辞任は当然である。塚田氏は道路建設に関して参院自民党幹部らから要望を受けた際「俺が何で来たか分かっているか」と言われた点をはじめ、詳細なやり取りを演説で明かしている。その全てが作り話だったのだろうか。総事業費が2000億円以上とされる巨大公共事業に関わる問題だ。今後も国会で経緯の解明が必要だ。
(安倍総理は)国会は数の力で押さえているから予算や法案審議には影響しないと高をくくっているのかもしれない。だがけじめをつけてこなかった結果、政治のモラルは低下する一方だ。
塚田副大臣発言 国民は事実が知りたい(東京4/5)
(塚田発言は)撤回では済まされない。翌二日、塚田氏は「一連の発言は事実とは異なるため撤回し、謝罪します」とのコメントを出したが、にわかには信じ難い。事実と異なるという割にはやりとりが具体的だ。民主政治の公平性、透明性を確保する上で当事者の正確な説明が必要だ。
↑
進歩系3紙の主張はほぼ同じ。塚田氏の発言を問題視するだけではなく、安倍政権の驕りや緩みを指摘。塚田氏の辞任で終わるのではなく、本件の経緯をあきらかにするよう求めている。
朝日が言うように、塚田氏と吉田氏の面会には国交省幹部も同席しており、実際のやりとりを確認することもできるはずだ。
また、毎日・東京が述べるように、塚田氏がこんな具体的なウソをついていたというのも信じられない。塚田氏が「ウソをつきました」とウソをついていたのなら、自らの発言を否定した吉田氏もウソツキになる。これは野党の頑張りを期待したいところ。
(つづく)
進歩系3紙:安倍政権は驕り緩んでいる。経緯を明らかにすべき。
読売・日経:安倍政権は驕り緩んでいる。結果を出していくべき。
産経:浅慮な塚田氏は罷免すべき。忖度は考えにくい。
とうとう辞任に追い込まれた塚田副大臣。統一地方選前半戦の投票日を7日に控え、在京6紙は4日~6日の社説で、この問題を取り上げている。
「安倍麻生道路」とも揶揄される下関北九州道路は、安倍政権の驕り高ぶりの象徴なのか?
各紙社説の概要を読んでいこう。
塚田氏辞任 政権のおごり改まるか(朝日4/6)
(塚田氏の副大臣)辞任は当然だ。これで幕引きではなく、国民が納得できる説明が必要だ。(塚田氏と吉田氏の面会)当時の記録を公開し、実際にあったやりとりを明らかにすべきだ。(塚田氏の発言は)忖度の事実がなかったとしても、地元への利益誘導で選挙戦での支持を集めようとしたことになる。(安倍)政権のおごりや緩み、政治責任を軽視する体質が本当に改まるのか、厳しく注視し続けねばならない。
忖度発言で副大臣辞任 首相は当初なぜかばった(毎日4/6)
(塚田氏の)辞任は当然である。塚田氏は道路建設に関して参院自民党幹部らから要望を受けた際「俺が何で来たか分かっているか」と言われた点をはじめ、詳細なやり取りを演説で明かしている。その全てが作り話だったのだろうか。総事業費が2000億円以上とされる巨大公共事業に関わる問題だ。今後も国会で経緯の解明が必要だ。
(安倍総理は)国会は数の力で押さえているから予算や法案審議には影響しないと高をくくっているのかもしれない。だがけじめをつけてこなかった結果、政治のモラルは低下する一方だ。
塚田副大臣発言 国民は事実が知りたい(東京4/5)
(塚田発言は)撤回では済まされない。翌二日、塚田氏は「一連の発言は事実とは異なるため撤回し、謝罪します」とのコメントを出したが、にわかには信じ難い。事実と異なるという割にはやりとりが具体的だ。民主政治の公平性、透明性を確保する上で当事者の正確な説明が必要だ。
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進歩系3紙の主張はほぼ同じ。塚田氏の発言を問題視するだけではなく、安倍政権の驕りや緩みを指摘。塚田氏の辞任で終わるのではなく、本件の経緯をあきらかにするよう求めている。
朝日が言うように、塚田氏と吉田氏の面会には国交省幹部も同席しており、実際のやりとりを確認することもできるはずだ。
また、毎日・東京が述べるように、塚田氏がこんな具体的なウソをついていたというのも信じられない。塚田氏が「ウソをつきました」とウソをついていたのなら、自らの発言を否定した吉田氏もウソツキになる。これは野党の頑張りを期待したいところ。
(つづく)
在京6紙社説を読む ~安倍麻生道路、忖度発言~ 2-2
塚田副大臣辞任 思慮を欠く発言にあきれる(読売4/6)
職責の重さを自覚しない発言にあきれるばかりだ。辞任を巡る安倍内閣の対応も後手に回った。(塚田氏の発言は)利益誘導を図ったと受け取られかねない。事実と異なるとして、後に発言を撤回したが、そうであれば、有権者を欺いたことになろう。(安倍内閣は)長期政権ゆえの驕おごりや緩みが目立つ。惰性を排して、政策面で結果を出さねばならない。
(下関北九州道路は)地元自治体などには、災害時の代替ルートとして、必要性を訴える声が強い。費用対効果などを慎重に吟味し、事業の是非を適正に判断しなければならない。
あきれかえった忖度発言(日経4/4)
もし道路の建設計画に何らかの政治的な配慮が働いたのなら重大である。本人の説明通りだとしても、行政の公平性に疑念を抱かせた責任は重い。選挙演説に多少の誇張はつきものだとしても、今回の発言は論外である。
7年目に入った安倍政権では森友、加計両学園の問題などを通じて、政権幹部への過度の忖度が行政の公正さをゆがめているとの指摘が出ている。長期政権のおごりや緩みを自ら厳しく戒めていく姿勢が問われている。
塚田氏の忖度発言 首相は罷免をためらうな(産経4/5)
発言は行政の公正性に関わる。撤回すれば済む問題ではなかろう。安倍首相は4日、「事実と異なることを述べたのは重大な問題だ」と答弁した。ならば、塚田氏を罷免するのが筋だ。
地元では、共産党など一部を除き関門新ルートの建設を望む声が強い。昨夏の西日本豪雨で関門橋と関門国道トンネル両方が通行止めとなり、生活必需品の流通に多大な支障が出た。これを機に、31年度予算に国直轄の調査費4千万円が計上された経緯がある。忖度があったとは考えにくい。
↑
保守系3紙は、読売・日経と産経で線が引けると思う。
読売・日経は、「安倍政権は驕り緩んでいる」という点では、進歩系3紙と同一の見解をとる。ただ、進歩系が「真相究明」を主張しているのに対して、読売・日経は「惰性を排して、政策面で結果を」とか、「自ら厳しく戒めていく」など、今後の方向性が明らかに違う。これはモリカケ問題の時も同様に感じたのだが、問題の掘り下げより、別の方面で加点してトータルでの信任を得るという手法だと思う。
産経は独自路線。今回の件を安倍政権の問題ではなく、塚田氏個人の資質に限定することで問題を封じ込めようとしている。また、下関北九州道路の有用性をアピールすることで忖度そのものを考えにくいと否定。
以上、在京6紙社説を読んできた。
正直、進歩系3紙と読売・日経の結論はだいたい想定の範囲内だった。産経はちょっと安倍政権に甘すぎだろう。これでは今後、もし本件について「真相究明」が進んできたときには、加計学園の時と同様に、産経の社説(主張)も方針転換せざるをえないだろう。
「商業ウヨク」というのもあってもよいが、あまりにすぎると「新潮45」と同じ轍を踏む。
公正であるべき政治の私物化という「腐敗臭」のするこの案件。進歩系マスコミはどこまで喰らいつけるか?野党は真相に肉薄できるか?
結果によっては、統一地方選、そして今夏の参院選にも影響を及ぼす可能性がある。
いましばらく注目したい。
【在京6紙社説を読む ~安倍麻生道路、忖度発言~:完】
職責の重さを自覚しない発言にあきれるばかりだ。辞任を巡る安倍内閣の対応も後手に回った。(塚田氏の発言は)利益誘導を図ったと受け取られかねない。事実と異なるとして、後に発言を撤回したが、そうであれば、有権者を欺いたことになろう。(安倍内閣は)長期政権ゆえの驕おごりや緩みが目立つ。惰性を排して、政策面で結果を出さねばならない。
(下関北九州道路は)地元自治体などには、災害時の代替ルートとして、必要性を訴える声が強い。費用対効果などを慎重に吟味し、事業の是非を適正に判断しなければならない。
あきれかえった忖度発言(日経4/4)
もし道路の建設計画に何らかの政治的な配慮が働いたのなら重大である。本人の説明通りだとしても、行政の公平性に疑念を抱かせた責任は重い。選挙演説に多少の誇張はつきものだとしても、今回の発言は論外である。
7年目に入った安倍政権では森友、加計両学園の問題などを通じて、政権幹部への過度の忖度が行政の公正さをゆがめているとの指摘が出ている。長期政権のおごりや緩みを自ら厳しく戒めていく姿勢が問われている。
塚田氏の忖度発言 首相は罷免をためらうな(産経4/5)
発言は行政の公正性に関わる。撤回すれば済む問題ではなかろう。安倍首相は4日、「事実と異なることを述べたのは重大な問題だ」と答弁した。ならば、塚田氏を罷免するのが筋だ。
地元では、共産党など一部を除き関門新ルートの建設を望む声が強い。昨夏の西日本豪雨で関門橋と関門国道トンネル両方が通行止めとなり、生活必需品の流通に多大な支障が出た。これを機に、31年度予算に国直轄の調査費4千万円が計上された経緯がある。忖度があったとは考えにくい。
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保守系3紙は、読売・日経と産経で線が引けると思う。
読売・日経は、「安倍政権は驕り緩んでいる」という点では、進歩系3紙と同一の見解をとる。ただ、進歩系が「真相究明」を主張しているのに対して、読売・日経は「惰性を排して、政策面で結果を」とか、「自ら厳しく戒めていく」など、今後の方向性が明らかに違う。これはモリカケ問題の時も同様に感じたのだが、問題の掘り下げより、別の方面で加点してトータルでの信任を得るという手法だと思う。
産経は独自路線。今回の件を安倍政権の問題ではなく、塚田氏個人の資質に限定することで問題を封じ込めようとしている。また、下関北九州道路の有用性をアピールすることで忖度そのものを考えにくいと否定。
以上、在京6紙社説を読んできた。
正直、進歩系3紙と読売・日経の結論はだいたい想定の範囲内だった。産経はちょっと安倍政権に甘すぎだろう。これでは今後、もし本件について「真相究明」が進んできたときには、加計学園の時と同様に、産経の社説(主張)も方針転換せざるをえないだろう。
「商業ウヨク」というのもあってもよいが、あまりにすぎると「新潮45」と同じ轍を踏む。
公正であるべき政治の私物化という「腐敗臭」のするこの案件。進歩系マスコミはどこまで喰らいつけるか?野党は真相に肉薄できるか?
結果によっては、統一地方選、そして今夏の参院選にも影響を及ぼす可能性がある。
いましばらく注目したい。
【在京6紙社説を読む ~安倍麻生道路、忖度発言~:完】
No title
「やっぱり?何をいまさら?」
と思った国民が大半かと・・・。思うんですが、国民のレベルと政治家のレベルは、おおむね一致するのですよね。
選挙のたびにバラマキがいきわたる(大手・地元企業はもちろん、国民各階層にも)。ほとんどの人たちが、先のことなどまともに考えていない。
収入の中でつつましく暮らしましょう、借金は返しましょう、蓄えをしましょう、依怙贔屓はいけません、そんな当たり前の話が通らない、不思議な国・時代です。
と思った国民が大半かと・・・。思うんですが、国民のレベルと政治家のレベルは、おおむね一致するのですよね。
選挙のたびにバラマキがいきわたる(大手・地元企業はもちろん、国民各階層にも)。ほとんどの人たちが、先のことなどまともに考えていない。
収入の中でつつましく暮らしましょう、借金は返しましょう、蓄えをしましょう、依怙贔屓はいけません、そんな当たり前の話が通らない、不思議な国・時代です。
No title
マスコミは青木の子分の吉田ひろみを批判出来ないから
塚田議員に批判の矛先を向けてるのになぜ気づかないのか
塚田議員に批判の矛先を向けてるのになぜ気づかないのか
再読愚考:「社説を読む」シリーズの終演
<なごやんのコメント>
公正であるべき政治の私物化という「腐敗臭」のするこの案件。進歩系マスコミはどこまで喰らいつけるか?野党は真相に肉薄できるか?結果によっては、統一地方選、そして今夏の参院選にも影響を及ぼす可能性がある。いましばらく注目したい。
↑
で、結局はウヤムヤのまま終演。
塚田一郎氏は落選、もう一人の主要人物、吉田博美氏は病気のため政界引退。
モリカケと同じハメに。
なお、「社説を読む」シリーズは、この記事コメントが最後になる。
というのも、令和になってから、読売新聞が自紙購読者以外にはWEB上の社説閲覧を許可しなくなったため。
さすがに、保守のオピニオンリーダーたる読売を差し置いて社説を論じても、バランスに欠き、シリーズとして続ける全体的な意味が減じると判断した。
読売が自社の見解を広く公表する機会を自ら放棄するのはいかがなものかとも思うが、「営業戦略」が優先するということなのだろう。
ある意味、「ガメツイ」読売らしくはある。
公正であるべき政治の私物化という「腐敗臭」のするこの案件。進歩系マスコミはどこまで喰らいつけるか?野党は真相に肉薄できるか?結果によっては、統一地方選、そして今夏の参院選にも影響を及ぼす可能性がある。いましばらく注目したい。
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で、結局はウヤムヤのまま終演。
塚田一郎氏は落選、もう一人の主要人物、吉田博美氏は病気のため政界引退。
モリカケと同じハメに。
なお、「社説を読む」シリーズは、この記事コメントが最後になる。
というのも、令和になってから、読売新聞が自紙購読者以外にはWEB上の社説閲覧を許可しなくなったため。
さすがに、保守のオピニオンリーダーたる読売を差し置いて社説を論じても、バランスに欠き、シリーズとして続ける全体的な意味が減じると判断した。
読売が自社の見解を広く公表する機会を自ら放棄するのはいかがなものかとも思うが、「営業戦略」が優先するということなのだろう。
ある意味、「ガメツイ」読売らしくはある。