文科省は、医師不足は解消されていないとして、医学部の定員を増員するとしました。
時事通信2011年10月20日配信 平成24年度医学部入学定員の増員計画について(文科省) そこで述べられていることは、医師が不足しているからというだけです。だから、定員増というものです。
その枠組みは次のとおりです。
平成31年度までの8年間
(以降の取扱いは、その時点の医師養成数の将来見通しや定着状況を踏まえて判断)
増員期間
○ 地域医療への従事を条件とした奨学金、選抜枠の設定(地域枠)を行う大学の入学定員の増員(H23年度:59名) ※自治医科大学の増員を含む
○ 複数大学の連携により研究医養成の拠点を形成する大学の入学定員の増員
○(歯学につき略)
ここでは、何故、どのような部門で医師が不足しているのかというものはありません。
せいぜいこれまでの経緯として、挙げられているのが下記の項目です。
平成20年度は、医師不足が深刻な10県、医師養成総数が少ない2県等で計168人の増
・平成21年度は、全都道府県で計693名の増(過去最大程度までの増員)
・平成22年度、23年度は、地域の医師確保等の観点から、計360名 というものですが、医師不足の県があるのは、医学部の定員が不足しているからとは思えません。
医師が不足しているのは、過疎地であったり、産婦人科や小児科など、医師にとってリスクの高いもの、勤務医などではないかと思われます。
都市部では、美容整形のようなものが、消費者トラブルを起こしながらも、一定数います。医師が自由な営業をしてよいとするならば、過酷な勤務医や産婦人科医などを敬遠し、簡単にお金を稼げる方に流れてしまうのは当然のことです。
勤務医の報酬が激務に耐えうるものになっているのか、産婦人科医のリスクを担保するだけの報酬となっているのか、ということこそ問われなければならないはずです。
医師不足と言われるときの「不足」の意味を検証することなく、勤務医が足りない、産婦人科医が足りない、過疎地域で医師が足りないということを単に「医師不足」と評して、医学部の定員を増やす、要は養成する医師の数を増やしたとしても、医師不足は決して解消されることはありません。
極論すれば、
営利競争に敗れた医師が、就職口として、勤務医や産婦人科医に流れてくるようなことになりかねません。
優秀な医師は、儲かる美容整形の医師へ、ということになってしまっては本末転倒であり、ましてやそれを国費で養成することの意味も問われかねません。
本来、医師のような専門職を数によって対処しようとすること自体が誤りと言わざるを得ません。
また地域枠というのも問題です。
「地域医療への従事を条件とした奨学金、選抜枠の設定(地域枠)」による増員を認めるわけですが、これでは入試の成績はさておき、枠の中で合格させてしまうというものです。
このような方法によって医師を増員することが、本当に質を維持できるのか、多いに疑問です。不足しているとされるところで求められている医師は、本来、一層、優秀な医師です。
本来、地域医療においても、正当な報酬によって医師を確保すべきであり、それによってこそ優秀な医師を確保できるというものです。
地域医療でがんばろうという意気込みは必要かもしれませんが、医師という専門職に求められるのは、まずは医師としての能力です。
医学部定員増の政策は、医師「不足」の対策としては、短絡的と言わざるを得ません。
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