法科大学院制度をどのように位置付けるのか。単純な廃止論はすでに意義を失った

　昨日（2020年1月22日）ですが、愛知県弁護士会所属の弁護士より「法科大学院と弁護士過剰の連動性の議論の欠如と欺瞞」というFAXが流れてきました。
　これまでもこのテーマでは法律新聞への投稿では常連のようでしたし、弁護士間のメーリングリストでもこのような原稿を投稿の常連でした。
　常に非常に自己満足レベルの行動しかされない方なのですが、今回、FAXが流れてきたのは（もしかして日弁連全会員？）、びっくりというか、よほど自身の投稿がこれまで相手にされなかったために、いよいよFAXを流してきたのかなと思いました。
　費用は大したことはないでしょうね。分厚い本も自費出版されていますし。


　他の方が非常に残念ということで紹介されていたので、私も送られてきたFAXを読んでみました。
参照
「法科大学院を殲滅せよという趣旨の怪ＦＡＸ」（Schulze　BLOG）

　現在、日弁連会長選挙の最中ですが、その中で自身が賛同していた候補の法科大学院制度の見解について転向してしまったと判断、その候補者の「黒幕」とともに裏切られたという思いから、こうしたFAXで拡散するという行動に出たんだなということがよくわかる文面でした。
　以前からこの論者は、法科大学院制度と弁護士人口（司法試験合格者数）の問題を結びつけ、司法試験合格者数を減少させるためには法科大学院制度の廃止しかない、それ以外は欺瞞だと声高に主張されていました。要は自身の見解以外はすべて「法科大学院制度存続派」だから、例え司法試験合格者数の減員を主張していたとしてもそれは欺瞞だと。

　司法試験合格者数と法科大学院制度は連動はしていますが、司法試験合格者数を減員するために法科大学院制度の廃止は必須ではありません。
　減員に向けた運動は、こうあるべきだという机上の議論では動きません。その目標を達成するためには、制度改革に向けた賛同を獲得しなければならないわけですが、法科大学院制度が2004年から動き始めてから既に16年がたっている中で、単純廃止論は、改革運動としては既に求心力を失っています。
　論者は、会員の意思にも反すると主張するのですが、その根拠は、自身のグループが行った会員アンケートの結果なのですが、回収率が極めて低いもので、とてもではありませんが、会員の意向が反映されたものとは言い難いものです。自身の言動を正当化するためだけに用いているもので、自身にとっては実は会員の意思など最初から眼中にはありません。論者は、減員に向けた運動それ自体を妨害することにのみ目的があるからです。
「司法試験合格者数の減員運動を分裂、妨害することだけを目的とした鈴木秀幸氏を批判する」

　もちろん現状で法科大学院制度が機能しているかといえば、そうは言えません。
「「法科大学院等の抜本的な教育の改善・充実に向けた基本的な方向性」に対する意見」（札幌弁護士会）

　やはり読むならこちらです。





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