『最高裁に告ぐ』（岡口基一著）

　遅くなりましが，岡口基一裁判官の『最高裁に告ぐ』の感想です。

　この分限裁判の不当性は、これまでも当ブログで述べてきました。経緯も含めてとてもよくまとまっています。
「岡口基一裁判官に対する最高裁による不当処分　裁判官に対する官僚統制　反対意見の１つも出ない最高裁まで統制されている」

　裁判所の問題点を考える上でもとても参考になる著作です。
　岡口さんが一番、問題にしているのは手続保障です。よくわからない申立事由に対して、「さぁ、言いたいことがあればどうぞ」というだけの機会であれば、本当に弁明させたことになるのか、という点です。

　この著書からは、非常に大きな憤りを感じました。当然です。
　最高裁側は、この点を問題と考えている、ならばその点について弁明はあるのか、という手続とはほど遠いものです。
　特にツイート内容について、勝手に解釈して原告を非難するものという認定は「えっ！？」となってしまうものです。
　裁かれる側からすれば、「どっちの結論を出すにしても少なくともこっちの言い分は正確に理解してくれよ」ということです。
　結論もさることながら、勝手に都合よく解釈してしまって事実認定（評価）されてしまうことほど腹立たしいことはありません。

　こうしたことは日々の裁判でも散見されます。
　こちらが主張していることとは全く違う観点から認定されてしまうことがあります。
　主張が不十分なのか、裁判官の理解が足りないのか、いずれにせよ裁判を受ける側にとっては不幸なことです。

　もう１つ岡口さんの主題は、判決書がどれだけ説得的なものになっているのかという点です。
　特に最高裁の判決（決定）の理由付けは、ほとんど薄いものです。
　当事者がその判断に納得できるかどうかは、理由付けによります。
　最高裁への上告、上告受理申立が減らない状態で、最高裁判事は年間1人2000件にもなるそうです。
　これははっきりと激務。最高裁判決の理由が薄くなる原因の1つかもしれません。しかし、上告が減らない原因の1つは、高裁までの判決の理由部分に説得力がないからではないことではないのかと思いました。

「『裁判官は劣化しているのか』（岡口基一著）」

ブログランキングに登録しています。
クリックをお願いいたします。

にほんブログ村

人気ブログランキングへ