米中対立が示すもの 単なる利権争い 生産力は国民生活の向上のために振り向けよう

　米国トランプ大統領は、来秋に見込まれる大統領選挙で苦戦が予想される中、選挙の延期を言い出して総スカン状態ですが、とにかく中国たたきに躍起になっています。
　領事館封鎖というのは、極めて乱暴な行動にも出ましたが、その理由たるやスパイ活動。
　今さら米国が他国に対して、スパイ活動を非難する資格なんかないでしょうにと思うところです。「同盟国」にすらスパイ活動をやっているのが米国ですが、所詮、米国にとっての同盟国とは、自国にとって利用できるかどうかだけの観点しかありませんから、「同盟国」も絶えず監視しているし、気に入らなければ圧力を掛ける対象でしかないということです。

　そして、中国たたきの大義名分が中国が共産党独裁だということだけ。
　自分たちは民主主義だと言いたいのでしょうが、どうみても五十歩百歩の世界です。少なくともトランプ政権を民主主義の賜などとは誰も思っていません。
　自らの権力基盤を強化するために愛国主義やら排外主義を利用していることも米中どちらも一緒。
　民主主義とか自由主義とか言っていますが、その米国はアラブ世界では独裁国家を支援してきたのです。米国は、自国のことも含め、政治体制のことなど、とやかく言えるような国ではありません。
　エルサレムをイスラエルの首都だとして大使館まで移動させてしまう、WHO脱退とか、もはや国家の行動ではなく、好き嫌いだけで動くレベルです。

　ファーウェイ排除もスパイ活動を理由にはしていますが、要は自国の産業保護。
　米国が世界の中でカネを人を集めて発展したやり方が既に立ち行かなくなり、誕生したのがトランプ政権でした。
　そのファーウェイがこのコロナの中で売り上げトップになったのは皮肉なことです。
「ファーウェイ、スマホで世界首位に　サムスン抜く」（朝日新聞2020年7月31日）
「新型コロナウイルスから回復した中国で8%伸びた一方、感染が広がる中国外での出荷は27%減だった。」

　ファーウェイは中国国内市場を「独占」したようで、国内産業により国民が購入できるということはある意味での理想です。海外に輸出して儲けるということが理想みたいに言われていますが、企業は儲かっているのに、その国の国民がその生産したものを買えない、では繁栄しているとはいえません。もちろん、中国の経済繁栄が続くとも思えません。農村を犠牲にしているからです。結局、海外から穀物などを買い入れなければならない状況は、いずれ限界が来ます。


社会を支えているのは私たちです

　国内産業の発展は、国民の生活を豊かにするものではなければ意味がありません。企業の競争力の確保という目的のため日本では法人税減税、消費税大増税が行われていますが、企業が儲かっても国民の生活全体が向上しているとは言えないというのが現状です。当たり前です。国際競争力を確保するために人件費を押さえ込むことによって低価格の商品を海外に輸出するからです。
　あるいは低価格の商品を生産するために生産拠点を海外に移してしまうというやり方です。
　国内産業の生産力は国内にこそ向けるべき、ファーウェイが世界一になった、それが自国の市場を背景にしたものだということは、私たちにこれまでの価値観でいいのかということを投げかけています。



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