小中学校まで教科書のデジタル化をいう平井卓也デジタル改革担当相は人間としての優しさが欠落

　ハンコは廃止しろとか急進的な改革を競うように大臣が張り合っています。
　ハンコはまだしも、平井デジタル改革担当相が小中学校の教科書をデジタル化など言い出したことには児童・生徒に対するやさしさが全く感じられません。

「教科書、原則デジタル化を　平井担当相「時代の要請」」（共同通信2020年10月6日）
「平井氏は記者会見で、子どもたちが端末に習熟するきっかけになるとの期待感を示した上で、教科書を「何冊も抱えて移動するよりはパソコン1台のほうがいい。効率性を考えたときにプラスだ」と説明した。」

　小中学校での児童、生徒の学習の目的は、端末に習熟する以前に基礎学力を付けることです。

　教科書が重い？

　重いというなら、家庭用と学校用の教科書をくれればいいことです。学校では貸与でも良いのですよ。
　教科書を忘れた、という子もいなくなります。

　教科書に変えてデジタル化などというのはビジネス的な発想での合理化、効率化でしかありません。学ぶ児童・生徒からの観点は全く皆無です。教科書が重いなどというのはとってつけた理由にすぎません。
　単に教科書がＰＤＦ化というのであれば、紙の方が利便性が高く、見やすいのですから、小中学校の教科書をデジタル化してしまったら、勉学の効率は下がります。
　小学校低学年から、既に学力の格差があるというのが実態です。家庭環境や経済格差がこうした学力格差につながっているのですから、求められるのは基礎学力の向上のために何が必要なのか、ということです。端末に習熟することではありません。
　単なる紙の節約ということであれば本末転倒です。


2020年10月6日撮影


　大人の世界でも、例えば議会で端末を利用した資料配付というやり方が出てきていますが、確実に効率は落ちます。ＰＤＦ配布しても議員さんたちは、実際に資料の残像が目にちょっと映っただけで資料を読み切れているとは思えません。どうせ紙で配付しても読まないからＰＤＦ配布の効率的というならそういう観点でしかありません。
「会議でのペーパレスにも限界があった　ウェブ会議のあり方」

　デジタル化を慣れの問題だなんて言っている人たちもいますが、少なくとも児童生徒に慣れの問題として片付けるわけにはいきません。
　この問題は一部のできる子の観点だけで考えているようにしか見えません。
　授業のオンライン化もそうですが、授業についていけてない子も少なくなくない中で、どうやって子どもたちの基礎学力を上げるのかこそ考えなければならないのに、時代の流れとか、教科書が重いとか、本当に大人、しかも政治家としての観点しかないんだなと思います。
　そこにはできない子に対する優しさなんてまるでありません。人としての優しさが全く欠如してしまっているわけです。
　ネット中毒、スマホ依存の人たちが「歓迎」したりする声も少なからずありますが、観点が全くずれているので取るに足りません。

　平井氏にとっては児童生徒の健康問題も全く眼中にありません。
「「教科書、原則デジタル化を」平井デジタル相らが要求」（朝日新聞2020年10月6日）
「文科省の指針では現在、健康面への配慮などからデジタル教科書の使用は各教科の授業時数の2分の1未満に限っている。平井氏は「全くナンセンス」と批判。」

　コストの問題も重要です。端末はすべて国が給付するというのでしょうか。壊れてしまった場合、すぐに代替品をくれるというのですか。各家庭での格差が問題になっているときにまさか自己負担などということはないでしょうが（教科書は無償配布）、端末も当然に無償配布してくれるということが大前提です。年度毎に支給する必要はありませんが、１２年間、全く支障なくその一台で済むということもないでしょうから、１２年間で一人あたり３台支給することくらいは考えておく必要があるでしょう。
　いずれにしてもパソコンメーカーが小躍りしている姿が目に浮かびます。

　平井氏といえば安倍前総理の腰巾着ですが、こういったレベルの人たちが閣僚になっていくのですから、世も末です。
「平井卓也議員の犯人捜し　またまた言い掛かりの和田政宗議員　自民党は安倍氏を守るために必死すぎる」



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