今年4月から中学校の授業で武道が必修化されますが、多くの中学校は、は柔道を選択するようです。
一番、危惧されているのは、柔道による死亡事故、後遺障害が残るような事故です。
先日も札幌地裁で、賠償金の支払を命ずる判決が出ました。
「
柔道部活で女性に後遺症、1億3千万円賠償命令」(読売新聞2012年3月9日配信)
これは、授業ではなく、柔道部での出来事ですが、約3億円の賠償を求めていたところ、1億3000万円の賠償を命じたというものです。
被告となった北海道は、「道側は「十分な指導をしていた」などと反論し」とあることから、安全配慮は怠っていなかった、従って、賠償義務はないという主張だったものと思われます。
通常の学校事故の場合、学校側(指導教師など)に過失がなければ、賠償義務は発生しません。
それができなければ、請求する側が敗訴、ということになります。
しかし、授業で必修化しておきながら、そのようなことが許されるのでしょうか。
これだけ危険な柔道を必修として中学生に強要しておきながら、死亡事故等が起きた場合、学校側に落ち度なければ責任を負わない、ということには、実は大きな問題があります。
これまでは部活動等による事故がほとんどでしたので、母数自体が少なかったのですが、義務化以降は、明らかに母数が激増します。
しかも、部活動では、それなりに自ら進んでやりたという生徒が入部してくるのですが、体育の授業ということになれば、少なくない生徒が無理矢理、やらされることになります。
一定、死亡事故等の発生が不可避であるにもかかわらず、しかも、生徒に対しては義務として強制しているにも関わらず(部活動のように生徒の意思によるものではないということです。)、そのような死亡事故等が発生しても、学校側に落ち度がないとして、賠償しないということ自体、明らかに理不尽なのです。
義務として強制する側は、この点は全く考えていません。
それこそ、原発と同じく、事故が起きるなどということは想定していないのでしょう。
私に言わせれば、このような状況の下で、武道(柔道)を必修化すること自体が大きな落ち度というものですが、実際の訴訟では、それだけの主張では通りません。
死亡事故等が起きた場合には、
義務として強制している以上は、損害賠償として認められる額を当然に補償するものでなければ、亡くなった遺族などは、到底、納得できるものではありません。 もちろん、補償すればよいというものではなく、武道必修化を止めるべきです。
悲劇が起きる前に。 ところで、事故が起きないためには、生徒に受け身をしっかり学ばせる必要があるなどという主張もありますが、あまりにも空虚な主張といわざるを得ません。生徒がやる気もないまま強制されることになりますが、誰しもが運動神経が誰もが良いわけではない、短期間で受け身を習得できるとも思えない、ましてや格闘技が好きでない生徒も決して少なくないでしょう、そのような中で、「受け身を習得させよ。」などと言ってみても、「何ですか、そのかけ声は。具体的な全生徒が受け身を習得できるプロセスってイメージできるんですか。」という問いに答えられるとは、到底、思えません。
このような主張は、善意なのかもしれませんが、武道必修化の問題点をぼかしてしまうことになってしまうということです。
また、下記のブログも参考になりました。
「
柔道一直線のスポ根教師に生徒を指導させてはいけない」(大西宏氏ブログ)
「要は指導者面をしているけれど、頭のなかは「柔道一直線」のスポ根アニメ程度しかなく、生徒たちの安全をその「柔道一直線」に委ねようというのだから、生徒よりもまずは指導者のほうを教育する必要があります。いくら指導経験があったとしても、それが危ない指導経験の積み重ねではよけいに危険です。」
私も先般、「
武道必修化は愚策そのもの」という意見を掲載しましたが、それに対しては、
お前は、柔道の何がわかっているのか、柔道は礼儀正しく、礼儀を身につけることができるのだ!などという愚かな批判が寄せられていましたが、はっきり言って、このような柔道オタクこそが根性論そのものを振りまく、危険な人たちということができます。
政府や自治体は、始まる直前になって注意喚起を行うなどと言っていますが、結局は、
ペーパーで配布するだけのことなのですから、全くナンセンスというほかありません。
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