弁護士がツイッターでメンタルをつぶやく 弁護士人口激増の問題

　弁護士によるツイッター利用も多く、いろいろなツイートがあります。
　実名もあれば匿名もあります。

　しかし、匿名だからといって何でも発信していい、ということにはなりません。
　ツイッターでのつぶやきが守秘義務に反するということにはなるのはまれです。業務上知り得たことを個別具体的なものとして発信しているわけではないからです。
　それがわかるような形であると話は別で実際に懲戒になった例もあります。

　ところで、ツイートの中には自分がメンタルをやられているということをブツブツとツイートしているものも散見されます。
　それがストレス発散方法なのかもしれません。心のバランスなのかもしれません。
　しかし、不健全です。
　匿名とはいえ、全くわからないとまでも言えない「匿名」のものもあります。そうでなかったとしても弁護士に依頼をしている多くの人たちがいます。そうしたツイートを見たとき、どのように思うのか、私には単に弁護士の信頼を下げているだけにしか見えません。
　周りがどう思おうとそのようなことなど顧みることなく、自分勝手に騒いでいる姿と言ってしまうのは言い過ぎでしょうか。
　精神的に辛いのであれば本来は休養すべき、ということになるのでしょうが、しかし、休養すべきと言ってみたところで弁護士の場合には自営業者であり、休養のために休めば、たちどころに経営は行き詰まります。
　だからなおさら追い詰められることにもなるのかもしれません。


2021年12月11日撮影


　以前、私が北大の法科大学院にお世話になっていた頃、北大の先生が旧試時代は不合格になることで打たれ強さが鍛えられたとおっしゃっていました。私は、なるほどと思いました。もちろんそれだけが真理ではありません。早期合格した方が打たれ弱いのかと言ったらそういうことでもありません。
　それでも弁護士人口の激増（司法試験合格者数の激増）は、それは以前に比べて格段に弁護士になりやすくなり、その結果、各層からの大量の流入という現象が起きました。弁護士になってみたら、思っていたものとは違ったなどというミスマッチが以前よりも多くなることは避けられません。
　加えて、弁護士人口の激増によって以前よりも個々の弁護士の経営が厳しくなっていくことも必然です。
　そのために弁護士がメンタルがやられてしまうということもあるかもしれませんが、だからといってそれを公につぶやくというのは違うと思います。
　繰り返しますが、そのようなツイッターは弁護士全体の信用を落とします。
　確かに、依頼者に問題があってメンタルがやられてしまうということはもちろん想定されることです。弁護士会の中にもメンタルに関する相談体制も作られています。どこまで有効に機能しているのかはわかりませんが。
　ただ、こうした状況を放置できない状態にあることは確かです。
　弁護士人口大増員の問題の1つでもあります。




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