民主党は、消費税大増税の是非を巡って分裂含みです。
もともと、このような火種は、民主党結成時からあったものです。
当時、構造改革を目指す自民党と張り合う形で、「第二保守党」として存在してきましたが、結果は、政権獲得からは遠いまま(旧民主党)。
それが旧社会党が合流し(新民主党)、小沢自由党が合流し、いろいろな系列の野合となったため、単純な「第二保守党」にはなりえなくなりますが、元々、旧社会党系は大きな勢力にはなりえず、基本的には、保守系ということになります。
しかし、2007年参議院選挙では、小沢代表は、この選挙での争点を的確に判断、構造改革に疲弊していた地方での1人区をターゲットにし、農家に対する戸別価格補償政策などの選挙公約を掲げますが、従来の民主党路線とは180度の転換となります。小さな政府を目指す構造改革とは明らかに逆行し、民主党内部にも不満を持つ構造改革派もいたでしょうが、「選挙」という共通目標のためということと、
小沢代表の強権的な対応が、このような反構造改革の公約を実現させます。
その結果、民主党は、参議院選挙に勝利しますが、あくまで参議院ですので、この段階ではまだ政権交代には一山あります。
試金石は、2009年8月の衆議院選挙になります。
民主党のマニフェスト政策を推進し、反構造改革としての政策を押し込んだのは、小沢一郎氏です。小沢一郎氏だからこそ、ある意味、強権的にこのようなマニフェストを政策することができたと言えます。
もちろん、日本には保守二大政党とはいいながら、なお反構造改革を掲げる政党として共産党、社民党がありました。もちろん、共産党、社民党とが直ちに政権を獲得しうるというような力量はありませんが、構造改革を批判する勢力が存在していたことは、単純に構造改革を推し進める二大政党が政策を競い合うというような構図にはならなかったということでもあります。
しかし、
小沢一郎氏でなければ、民主党のマニフェストをあそこまで反構造改革的な政策を押し込むことはできなかったでしょう。
民主党が反構造改革ということで衆議院選挙に勝利すれば、小泉政権後に頓挫していた構造改革に終止符が打たれることになり、これは、財界にとっては危機的な状況となります。
検察庁が取調べの全過程の可視化を主張する民主党政権の誕生を阻止しようと政治介入を行いましたが、財界は当初は懸念を示していたものの、最終的な選挙介入はありませんでした。
民主党のマニフェストには、構造改革に反するものもありましたが、他方で、
衆議院議員定数の削減
公務員人件費の2割削減
など、小さな政府を目指すものも含まれていたこと、
財界に対する累進課税の強化などは含まれておらず、
他方で、安倍晋三元首相のようなあまりに懐古的、王政復古的なナショナリズムのやり方では、財界も、もはや自民党には構造改革を断行する力量はない(国民の支持は得られない)と判断したこと
が考えられます。
いずれにせよ、民主党鳩山政権が誕生したとしても、日米安保体制を基軸としたグローバル化を妨げはしないだろうと判断したものです。
ところが鳩山政権は、米国一辺倒からの脱却や、子ども手当の充実などの政策を断行していく中で、次第に財界や米国から敵視されるようになり、最後には財界の意向を受けたマスコミのキャンペーンにより鳩山政権は倒されます。
その結果、労働者派遣業法の改正も骨抜きにされ、他の分野も同様の状況に陥りました。
「
野田民主党政権の末期と小沢叩きに奔走させられたつけ」(過去のブログ)
その後は、菅内閣、野田内閣と民主党政権でありながら、従来の自民党と全く異ならない政権となりました。
野田内閣は、小沢グループや党内の一部が離党しようが、既に構造改革を断行するための政策を実現することしか眼中になく、そのために自民党ととの「連携」が露骨に推し進められることになります。
労働者派遣業法の改正などは、国民、労働者の声でありながら、あるいは消費税増税反対も国民の声でありながら、そのマニフェスト違反という批判は、マスコミからは聞かれません。
構造改革を断行を推進するマスコミは、小沢一郎氏を金権まみれというレッテルを貼ることによって追い落とし、反構造改革の根を取り去ろうという意図が明確に示されています。
反構造改革の受け皿として、今のところ共産党、社民党が力量不足という状況のもとでは、小沢一郎氏のような勢力が受け皿にさえならなければ、反構造改革の根を積むことが可能となります。
民主党は、いずれにせよ瓦解していくことでしょう。
しかし、民主党は単純な内部分裂で瓦解したのではありません。
鳩山政権が国民の声に応えようとしたからこそ、財界や米国の圧力のもと、瓦解したのです。
国民の生活の破壊者は誰か、これこそが民主党瓦解の教訓と言えます。
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