企業の副業解禁が招くもの 成果給と終身雇用の廃止 労働者は生活できる賃上げを勝ち取ろう

　企業の副業の解禁をどう思いますか。
　中には仕事さえ、やることをやっていれば何を文句、言われることがあるんだという主張があります。
　本当でしょうか。
　確かに労働者の義務は労務の提供であり、それに支障がなかったら、それでいいだろう、というのも一見、筋が通っています。
　しかし、そもそも影響を受けているというのような場合を経営者側が立証できるというのはよほどの怠業状態でなければ難しいと思われます。しかもそれが1度や2度ではムリで（まず指導）、それがある程度、常態化していないと現実には怠業を理由とした処分はムリでしょう。
　もちろん、その怠業の原因は副業に限りません。単なる夜更かしでも含まれます。
　しかし、それが現実的なものと言えるでしょうか。

弁護士ドットコムでの弁護士の見解です。
「企業の副業禁止、法的には？　国は拡大方針も、今なお就業規則で禁止されるケース」（弁護士ドットコム）
「政府が副業・兼業を解禁してから約4年が経過しますが、依然として約半数の日本企業が副業・兼業を全面禁止していますから、社内ルールのレベルでは大きな変化が見られません。
　とはいえ、労働者には、憲法上の権利として職業選択の自由が認められ、労働者の私生活上の尊重の要請が働きます。そのため、副業・兼業を禁止し、違反した場合には罰則を加えるとすることは、このような労働者の権利を過度に縛ることになってしまいます。
　そのため、使用者は当然には副業・兼業を禁止できず、副業・兼業が、本業との関係で競業関係に当たってしまうような場合や、業務の負担があまりにも過重であるため本業に支障を生じさせるような態様の副業・兼業に当たるなどの場合に限り、副業・兼業を例外的に禁止できるにとどまると考えるべきでしょう。」

　労働者の怠業が本業に支障を来していることの立証（反証）責任は使用者側にあります。
　現実には労働時間を使用者の指揮命令下にあったということがいえればその間、業務を行っていたという推定が働きます（労務の提供をしたという立証は労働者側にありますが、怠業の場合、怠業をしていないということの立証は困難です）。
　そうなると現実には、ちょっとやそっっとの業務に支障がでようと、副業し放題になりかねません。
　副業をせずに普通に勤務している労働者にとってそうした存在はどのように写るでしょうか。単なるずるい人ということになりますよね。管理職には見えていなくても同じ職場で働いていたら、どの程度の仕事ををしているのかはわかろうというものです（それが副業に起因するものかどうかはわからないかもしれませんが、解禁となれば堂々としゃべるかもしれません）。

　結局、労務管理をする側もされる側にとっても副業禁止はメリットがあるように思います。


2019年2月2日撮影


　さらには業務に支障を来さなきゃいいだろという発想は成果給に結びつきます。
　だいたいが副業を解禁する企業は、自己責任で稼げということでしかありません。弁護士ドットコムの回答はそうした背景事情にまで及んでいないように思います。
　これでは危うい方向に行きかねません。
　加えて、終身雇用という制度にも風穴を空けます。
　大企業の社畜という部類になろうが、そこで働くことによって終身雇用が保障されます。
　副業の解禁は要は自己責任でやれということですから終身雇用が揺らぎます。成果給の延長線上にあるものです。

　しかし、一番、重要なのは、労働者が会社に対して復業せず、残業せず、生活できるだけの賃金を要求することです。
　だからこそ、労働者には団結があり、団体交渉権、争議権が憲法上、保障されているのです。
　副業解禁とは直接の関連性はありませんが、賃上げの要求こそが筋です。

「相応の給与を取得しているんだから公務員の副業はダメでしょ」



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