ロシア・ウクライナ戦争 徹底抗戦か即時停戦かはウクライナ国民が決めるのか

　ロシア・ウクライナ戦争は即時停戦以外の選択肢はありません。
　しかし、この主張に対して決まって出て来るのが「即時停戦するかどうかを決めるのはウクライナだ！」というものです。

　ウクライナの頭越しでどうこうで停戦することは無理ですが、この主張は明らかに誤りです。
　ウクライナが決めることはできるが、独自で徹底抗戦を継続できる能力はないからです。
　それは米国・NATOによる武器援助があって初めてウクライナの戦争継続は成り立っているに過ぎません。
　ウクライナが戦争継続することを決めることができるということと、それが批判の対象になるということも別の問題です。

　こうした点を白井邦彦先生がまとめられています。
「93%対64%(対20%)、寄り添うべき「意識」とはどのような「意識」なのか」

　こう言っては何ですが、ウクライナに当事者性はありません。米国の代理戦争であり、それ故にウクライナが独自に決めることはできません。米国が手を引くと言えばウクライナには停戦の道しか残されていないわけです。

　実際のウクライナの状況ですが、これは本当でしょうか。
「ウクライナ軍の死傷者「最大１２万人」と米紙報道…大規模な反転攻勢に不安も」（読売新聞2023年3月14日）

　西側情報としてウクライナに不利な内容が流されています。
　武器援助をしないと大変だという煽りかもしれません。


2023年1月1日撮影



　他方で中国は習近平国家主席が訪ロの予定と言われています。
　中ロの接近は世界にも大きな問題を引き起こします。
　ウクライナ・ゼレンスキー大統領がなおも中国に期待しているかのような発言をしているのは、中国を決定的にロシア側に押しやってしまうことを危惧しているからです。中国側が提示した案を米国・NATOは一蹴してもゼレンスキー氏は前向きに評価したのもとそうした背景があります。
　もとより実際にウクライナが中国の和平案に乗れるかは別問題。しかし、ウクライナにとっては中国は無視し得ない存在です。

　米国・NATOが一番、危惧しているのは中国によるロシアへの武器援助です。
　今、ロシア・ウクライナ戦争を一番、喜んでいるのは中国かもしれません。この戦争でロシアは弱体化しますが、米国・NATO側も多額の武器、資金援助を行い、米国・NATOも同様に疲弊していきます。米国は台湾には手が回らなくなります。
　米国では国防総省過去最高の予算を要求しています。
「米軍事費、１１２兆円要求　台湾有事を念頭　国防総省予算」（朝日新聞2023年3月15日）

　そればかりか中国はロシア産の原油を安く入手しています。
　仮に中国がロシアに武器援助をするとしても米国・NATOのように無償ではありえません。中国が自国の利益を優先するのは明らかなので、つけで買わせるかどうかはともかく相応の代金が要求されるはずです。
　中国側はウクライナに対し、ロシアに武器供与することに言及すれば、かなりの脅しになります。
　さて、停戦に向けて中国がウクライナを脅す可能性はあるのでしょうか。
　習近平氏はロシア国内からオンラインでゼレンスキー氏と面談するのではないかという報道もありますが、ロシア国内からというのではゼレンスキー氏が望んでいた面談とは違うかもしれません。

　いずれにしてもウクライナが単独で戦争継続を決められるわけではありません。
　核戦争の危機も含め、地球上に住むすべての人々に影響があるのであってウクライナだけの問題でもありません。
　現実を見据えた上で、即時停戦を実現すべきです。

　この見解ですが、やはりどうなんだろうと思います。
「ウクライナ戦争に対する「即時停戦派」がなぜ「徹底抗戦派」より、国際世論でも国内的にも支持を得られないのか。その理由は即時停戦派の偏頗性＝偏っていて不公平、にある。」（Everyone says I love you !）
　国連総会などを持ち出しても説得力はありません。多くのマスコミが世界の分断と評価しているのも米国流のやり方には一致した方向性が見出せていないからです。
　即時停戦を主張する佐藤優氏を題材にしていますが、彼は即時停戦派の代表でもないし、即時停戦の主張を歪めて紹介しているのでは批判として意味がありません。
　全体の論旨もロシアが悪いだけで終わってしまっています。それでいて日本は軍事援助すべきでないとか言ってみても説得力はないでしょう。



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