札幌弁護士会に対し、ろう児が日本手話で授業を受ける権利を北海道教育委員会から侵害されていることについて人権救済の申立を行いました

　２名の児童が原告として北海道（北海道教育委員会、北海道札幌聾学校）を相手に訴訟を提起しています。
　合わせて札幌弁護士会に人権救済の申立を行っていましたが、３月１７日、さらに１名の児童が人権救済申立を行いました。
　本申立は、個々の児童が日本手話による授業が受けられていないという問題以上に北海道教育委員会、北海道札幌聾学校が日本手話教育を意図的になくしてしまおうとしていることを問題にしています。
　現在、札聾では日本手話ができない教員が担任となっているという問題がありますが、今年は日本手話ができる教員が担任であったとしても翌年度はわかりません。札聾の現状ではそれが全く保障されていない状態です。
　それ以上に問題なのが札聾が乳幼児相談室を事実上、閉鎖してきたことです。
　ろう児は聴者から生まれてくることが圧倒的に多く、我が子が聴覚に障害があるのではないかということになると親はどうして良いかわからない状態に置かれます。
　そのため北海道札幌聾学校に設置された乳幼児相談室では、乳児に対する日本手話での会話、聴の親に対する日本手話の指導などに対応してきました。
　これによって乳幼児が言語に接しないということにならいようにすることができます。０歳から３歳までの間の言語保障は極めて重要なのですが、その間に言語に接しないとその後に言語習得に大きな支障を来してしまうからです。

　札聾は、コロナ禍を理由に外部からの日本手話が堪能な支援者の来校を拒絶するなど、乳幼児相談室を閉鎖に追い込もうとしています。
　これが閉鎖されてしまうと乳幼児の時期から日本手話という言語に触れることができなくなり、言語剥奪の状態が起き、日本手話そのものを習得することができなくなります。
　それがどのような結果を招くのか。乳幼児が日本手話に触れる機会をシャットアウトするのですから日本手話を求めるろう児が自然消滅する、これが北海道教育委員会の狙いです。北海道札幌聾学校の管理職は粛々と動いています。
　これこそが大問題で、北海道教育委員会は本気でろう教育を潰しに掛かっています。
　これでは同化政策と同じです。
　聴覚障がいがある人たちが独自の言語で学ぶことは自身のアイデンティティを否定されるのと同じです。自分たちの言語を禁止され、外国語を強要されるの同じようなものです（ろう者の場合はよりもっと深刻です）。
　このような暴挙を許してはなりません。
　一番、許せないと思うのは、北海道教育委員会はこれだけの暴挙を行いながら口では「従来の方針を変えてません」とうそぶいていることです。
　日本手話クラスが閉鎖になれば教員が半分で済むようになる、そうなれば大幅に人件費を削れます。それを正面から認めてしまうとろうあ連盟などからの反発を招きます。だから乳幼児相談室という入口を塞ぐ、在籍児童にも過酷な対応をするという卑劣な手段を使っているのが北海道教育委員会です。



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