米英によるイラク侵略の持つ意味 国際社会秩序を蹂躙してきたのは米国であり、米国こそが国際ルールを軽視する風潮を作った

　米英によるイラクへの侵略戦争開戦から20年がたちました。
　当時の安保理ではイラクに対する戦争に対するゴーサイン決議は当然のことながら、ロシア、中国がある限りは可能性はゼロでした。
　しかし、それだけでなくフランスも反対の姿勢を示し、非常任理事国であったドイツも反対していたというところが重要です。
　西側の理解も得られないまま、子分のような英国を従えてのイラク侵攻は米国の思い上がりは甚だしいものがありました。今でもその思い上がりは全く変わりませんが。
　その米国をいち早く支持した日本の自民党政権も最悪でした。

　朝日新聞2023年3月20日付の「イラク侵攻「四つの要因」」という記事はとても参考になります。
　米国バージニア大学のメルビン・レフラー名誉教授の分析です。
　　９．１１の衝撃（恐怖）
　　アルカイダの追放成功（過信）
　　米軍を歓迎（おごり）
　　統治検討不足（機能不全）

　改めてこのような分析を読むとその整理の素晴らしさは目から鱗が落ちる思いです。
　今のプーチン大統領にも似通ったところがありますが、当時のブッシュ政権が米国の力を過信し、イラク侵略戦争を始めてしまい、しかし、その結果についての一切の責任をとってこなかったし、世界もその責任を曖昧にしてきました。常任理事国ならば許されるということを体現したのが米国です。


2023年1月2日撮影


　メルビン・レフラーさんは、「しかし、中国が台湾を併合することは、米国の存亡に関わることなのでしょうか」とさえ問題提起をされています。
　そこまで言うんだと思いましたが、冷静に考えると米国とは関係がないし、それは日本も同様です。米国の利益を害するのかどうかという観点も恐らく関係ないんでしょうね。
　ただ力による変更を認めるのか否かは別問題ですが、それを他国が存亡の危機となるかどうかは全くの別問題なのです。

白井邦彦先生がイラク戦争についてまとめられています。是非、ご一読ください。
「イラク戦争開戦２０年、イラク戦争とロシア・ウクライナ戦争の比較からの疑問」

　米国のイラク侵略は正義の戦争でロシアによるウクライナ侵攻は不正義だというのは詭弁です。
　私は、こうした観点からも、米国がロシアを非難するのは全く説得力がないと考えています。
　それが世界を分断している要因でもあります。
　かつての米ソ冷戦時代に逆戻りしています。
　核戦争の危機と隣り合わせで生きていくなどあり得ません。まずは即時停戦しか選択肢はないのです。　




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