子どもが虐待を受けているかも？ その場合に必要なのは子の身の安全の確保

　事の真偽は全くわかりません。
「「キモい」「泥棒」と叱責…壱岐島で遺体発見「17歳高校生は里親から虐待されていた」同居していた離島留学生が告発」（文春オンライン2023年3月29日）

　但し、里親がこのように回答している部分はあります。
「……世間一般的に見れば、虐待ですよね。でも、僕らの中ではそういう気持ちっていうのは親心と思って。でも結果は結果なので（椎名君の）気持ちを読み取れなかった。しかも長いこと」

　本当にこのように答えていたとしたら、虐待だったのでしょう。しつけと称する虐待の決まり文句もあります。
　「僕らの中ではそういう気持ちっていうのは親心」の部分です。求められるのは「親心」というよりも「人の心」です。

　一番の問題なのはこちらです。
「壱岐市の「いきっこ留学制度」を担当する壱岐市教育委員会の久保田良和教育長もこう語る。
「日常的に叩かれたり怒鳴られたりしていたら、椎名君は3年半もそこ（Aさん宅）にいるわけがないんです。それだけ、親代わりで優しくされていたということだと思うんですね。今後は定期的に質問用紙を用意して、子どもたちの声をちゃんと聞けるようにしていきます」」

　上記のとおりご自身が「虐待です」というものもありますが、どのような内容なのかという態様、程度の具体性がないので何ともいえず、特に酷い虐待があったのかどうかの真偽は記事からは全くわかりません。
　しかし、仮に虐待があった場合、教育長の言うところのその子が3年半もそこにいるわけがないという発想は明らかに誤りです。
　3年半前ということになると14歳からということになりますが、そこにはいられないとなった場合、子どもが自分で何か行動をとれると思うのは教育関係者としては最悪の発想です。これでは子どもに責任を転嫁しているのも同然です。自分からどうしたら良いかわからない場合など特に子どもの場合には当たり前の現象です。
　そして、「今後は定期的に質問用紙を用意して、子どもたちの声をちゃんと聞けるようにしていきます」の部分。
　このようなやり方では虐待があったとしても現実には救済できません。子どもたちが虐待されていると書いてきたどうするんでしょう？


2023年3月11日撮影


　という以前におそらく虐待があったとしてもそれを記載することはできないでしょう。
　本来は、万が一、虐待があったという場合を想定し、安全のために子どもたちの身柄を確保する必要があるし、そうした虐待から「守るよ」という担保がなければ、とても告白（告発）などできるものではありません。
　この教育長の発想だと、里親に事実を確認するといって、ただ漫然と対象とされた人物に言うだけになりがちで、そうなるとかえって「告げ口」にしかならず、その後が怖ろしい状況になります。報復虐待を受けることにもなりかねません。子どもはそのように心配するということです。
　その子どもにとってはさらに「大人に裏切られた」という心理状況になり、大人に救済を求めることができなくなります。
　この教育長のやり方は、虐待が疑われる、あるいは子どもたちから申告について全くと言って良いほど脳天気というか、そもそもの発想が虐待を想定したものとは言えないということに行き着いてしまいそうです。
　例えていうのであれば自動車で一時停止の標識があるにも関わらず、左右からくる歩行者のことは考えず一時停止ラインを平気でオーバーする車の運転手と同じです。
　口では虐待があり得るとは言ったとしても、その思考が全くおかしいということです。仮に虐待があったとすれば、子どもたちからどうしたらそれを安心して、要は信頼して伝えてくれるのか、という問題意識は全く欠如してしまっています。

　児相も同じようなレベルの対応で（虐待が疑われるのに、当の親に確認してお仕舞いとする）、結果、虐待死を防げなかった案件はいくらでもありますが、何故、思考力、想像力が弱いのか、専門職とはほど遠く、薄ら寒さを覚えます。



ブログランキングに登録しています。
クリックをお願いいたします。

にほんブログ村

人気ブログランキングへ