ロシア・ウクライナ戦争で即時停戦は当たり前 とにかく戦争継続をしたがるのは何故か

　現状、核戦争の危険を考えるのであれば即時停戦しかないのは常識だと思うのですが、何故か核戦争は起きないという楽観論が日本社会に蔓延しています。不思議です。
　絵に描いたようなウクライナの反転攻勢が成功し、ロシア軍が退却していく、勝利だ、という構図なんでしょうが、あまりに幻想的です。
　ロシア軍が退却した後はどうなるのですか？
　ロシア軍は不利になっても戦術核を使用しない、というのはどこからその自信はは来るのでしょう。
　いよいよクリミア大橋の爆破はウクライナ関与が明確になりました。以前からウクライナ側によるものという指摘がありましたが、これまでグレーでやってきました。
「ウクライナがクリミア橋爆発への関与認める　情報機関トップ「適切な措置」」（産経新聞2023年5月29日）

　米国・NATO側の武器供与による攻撃であればいよいよロシア側の報復へのハードルが下がることになります。
　ロシアにとっては安全保障の問題だからです。
「G7広島サミットは第三次世界大戦をもたらすための「進軍ラッパ」（遠藤誉先生）」

　ベトナム戦争では北ベトナム、民族解放戦線に対して中ソが武器援助をしてきました。しかし、ここでは核戦争の危険は現実のものにはなっていません。米軍によって核兵器以外の残虐な兵器は使われていますが、核兵器そのものを使用するという局面にはなっていませんでした。それは米国の安全保障自体が問題になることはなかったらです。米国とベトナムは遠く離れています。
　これに対してキューバ危機は現実の核戦争直前まで行っていました。ソビエトがキューバという米国と目の鼻の先に核兵器を配備しようというのですから、米国がなりふり構わぬ対応をしたのはまさに米国の安全保障に関わることだから。決して妥協できる余地はなく、だから核戦争の危機だったわけです。ソビエトが撤収し、核戦争の危機が回避されたということです。
　今時のロシア・ウクライナ戦争がどちらに近いかは自明でしょう。ロシア・ウクライナ戦争に対し即時停戦を求めるのは当然なのです。
「ウクライナに軍事加担を強めていく自民党岸田政権　米国退役軍人による停戦論」


2023年3月10日撮影

　イラク戦争に対して即時停戦を求める声がなかったという珍論もあります。米国には出て行け、ロシアには即時停戦というダブルスタンダードではないかというものです。要は、米国・NATOによるウクライナへの武器供与、代理戦争を正当化したいがための、為にする議論です。
　今時、そんなレベルのことを言っているのは希少価値かもしれませんが、米国を侵略国として非難するのとロシアを非難するのは基本的には同じです。
　但し、決定的に違うのは安全保障が関わっているかどうかです。欧州における安全保障の枠組みをぶっ壊し、NATOを東方に拡大させてきたことがロシアによる軍事侵攻を招いた一番の原因です。何故、ロシアを含めた安全保障を築こうとはしなかったのか、それははっきりしていて米国・NATOがロシアを敵視していたからです。この安全保障の枠組みができなければ、少なくともウクライナ側の勝利はあり得ないということです。核戦争にまで発展する可能性があるのはそのためです。
　米国によるイラク侵略はやめよ、これは当たり前です。私たちは西側に生きている者だからです。
　極論すれば日本が他国の侵略を始めたという場合、何を主張しますか。
　即時停戦ですか。まさかね。私たちは自国である日本政府に対して侵略戦争はやめろ、です。それ以外の選択肢はありません。イラク戦争も同様です。米英の蛮行に対して真っ先に支持を表明したのが日本の小泉政権でした。とんでもないことであり、即時停戦ではなく、侵略戦争反対、日本政府は「同盟国」として米国を批判しろとなるのは当たり前のことで、これとロシア・ウクライナ戦争との違いがわからないのは理解力にも問題があるのかもしれませんが、要はロシア・ウクライナ戦争の即時停戦論に難癖をつけたいだけなのです。

　ロシア・ウクライナ戦争を続けさせることは地球上の人々、生命に危険を与えるものです。



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