徳岡宏一朗弁護士の即時停戦論批判の誤り その３

　引き続き、徳岡宏一朗弁護士の主張する停戦論に対する批判の検証です。
「【白井邦彦青山学院大学教授　特別寄稿】　再度「即時停戦・和平交渉による解決」を強く訴えます ー「今こそ停戦を」に賛同する一市民の立場からー」

また、私が憲法９条護憲派の平和主義者でありながら、軍事同盟であるＮＡＴＯによるウクライナへの軍事支援を武器の種類を限定するものの肯定するのは

　ここが最初からダブルスタンダード、ご都合主義です。

９　欧米によるウクライナに支援がないと、ロシア軍がウクライナ軍を押し返し、その過程で市民に対する虐殺・強姦などの戦争犯罪が起こる可能性が高いこと

　だから即時停戦であり停戦合意が重要になってくるのですが。
　最初から停戦合意を否定してしまっているから結局、緊張状態が永続するということにしかならないわけです。
「その過程で市民に対する虐殺・強姦などの戦争犯罪が起こる可能性」というのは戦争が継続するが故に起きるものです。
　もちろん停戦後に占領地域でも起きうる可能性はあります。しかし、それは戦争継続中の場合とは全然、状況が違うのですから、あたかも戦時中と同じレベルで戦争犯罪が起きるというのは完全な煽りです。
「ウクライナ・ゼレンスキー政権が守ろうとしているのは領土　即時停戦したらさらにロシア軍占領地域のウクライナ人が殺されるという戦争継続派による煽り」

１０　ロシアが首都キーウを再び攻撃してゼレンスキー政権を打倒して傀儡政権樹立を狙う可能性もあること

　これも同じ。だから即時停戦なのです。




2023年3月10日撮影

１１　ロシアによる侵略は国際法違反だが、ウクライナの防衛戦争は国際法に適合しており、それに対する軍事支援も国際法的には適法であること

　適法だというのであれば日本でも武器供与を実現しましょうね。ウクライナに限っての援助であればそれに反対する理由がわかりません。
　なし崩し的になるから？
　だったら「反対」の声を上げればいいんじゃないですか。
　日本では弾薬の原料の輸出が言われていますが、岸田政権は武器輸出三原則に反しないと言っています。賛成しますか？

１２　第二次大戦で、旧日本軍の南京入城やナチスのポーランド侵略などに抵抗するレジスタンスに連合軍が軍事支援をしたとしてもそれは大量殺人を防ぐためであり、国際人道法にむしろかなうと言え、今回のＮＡＴＯによるウクライナへの軍事支援も同じことがいえること

　比較の対象として、これら旧日本軍の南京入城やナチスのポーランド侵攻を持ち出すのは何故ですか。
　ナチスのポーランド侵攻に対して連合国側がしたことは武器供与ではなく、英仏の対独参戦です。ナチスの脅威が現実のものになったからですが、そうであればウクライナについても米国・NATOが対ロ開戦したらいいですよね。反対するんですか。
　旧日本軍の南京入場ですが、当時、国民党政権に武器援助をしてきたのはナチスです。中国共産党撲滅が目的です。それ以前はソビエトです。
　日中戦争が始まるとナチスに変わって米英が蒋介石支援のための武器供与を行いますが、中国に対してではありませんね。あくまで国民党に対してです（援蔣ルート）。大戦末期になると米国も中国共産党の存在を無視し得なくなりますが、米英が考えていたのは国民党政権による中国統一です。
　そして何よりも米国も含め、戦争当事国として参戦しています。米国ルーズベルトは最初から参戦の意思むき出しでした。ただ国内世論から直ちに参戦ができなかっただけです。
　武器供与レベルの話にポーランド侵攻などを持ち出しても意味がありません。



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