未来の党の分裂とその責任について

　未来の党が結党１ヶ月で分裂しました。
　衆議院選挙の前に結成され、選挙で惨敗すると、人事を巡る争いが激化、嘉田滋賀県知事グループと小沢グループが分裂しました。
　私自身は、「卒」原発を掲げて結集しようとしたこの政党に期待もしました。
「日本未来の党の結党に期待　野合と結集の違い」

　しかし、その期待は早くも裏切られました。未来の党は、「卒」原発に向けての核にはなれませんでした。
　期待を表明した以上は、私も自分なりに見解を述べておきたいと思います。

　未来の党の崩壊の過程をみるや、主導権争いというよりは、惨敗した結果、今後、どのようにすれば来年の参議院選挙を戦うことができるかという「戦略」の違いに行き着くように思います。
　小沢グループが小沢氏の共同代表就任を求めたのは、単に小沢氏を担ぎたいというよりは、小沢氏のファンを引きつけ、自由党時代に比例区で600万票を獲得した過去の実績を再来させたいということでしょう。
　600万票あれば、投票率にもよりますが、6名を当選させる可能性が出てきます。

　これに対する嘉田氏は、共同代表に阿部知子氏（元社民党）という人事は、小沢色を消すことこそ、飛躍ができると考えたようです。
　マスコミによる小沢叩きは尋常ではないからです。

　今回の衆議院選挙の惨敗がこの対立に拍車を掛けたのは残念です。
　議席が減ったという視点からすれば惨敗かもしれませんが、この未来の党がなければ、その阿部知子氏も、多くの小沢グループの議員も当選できなかっただろうことを考えると、大同団結によって切り開けるという可能性を示したのではないかと思うのですが、彼らには違ったようです。

　当事者にとってみれば、「こんなはずでは…」だったのでしょう。
　それが今回の分裂劇です。
　外部からみれば、小沢色を消すと言ってみたところで、小沢氏を役職につけなかったとしても、世間的にみて小沢色を消すことなどできようはずもないし、小沢氏個人の力量で今回の当選者を出せたわけでもないでしょう。岩手県内の小選挙区の結果をみれば、もはや小沢氏個人の力量では無理です。かつての自由党時代の栄光はもうないのです。（但し、資金力の差は桁違いかもしれません。）
　その意味では、今回の未来の党の分裂劇は、国民の声そっちのけとの批判は免れませんし、今回、未来の党を支持してくれた人たちに対する冒涜でもあります。
　目標、理念が同じであれば、何故、一緒にできないんですか、という点が根本的に問われているからです。
　小沢色があろうが、しかし、嘉田氏をはじめとした多くの人たちとの結集のもと、目標、理念に向けて大同団結したところに支持が集まったということの自覚があまりにもなさ過ぎです。

　この分裂劇は、反原発、そして反構造改革の勢力が団結するまでは、まだ紆余曲折があるということでもあり、まだまだ成熟には時間が掛かるということでもありました。
　目標と理念で一致するならば、大同団結が求められているのであり、反原発を求める人たちからみれば、何故、その程度のことができないのかと全く理解されない行動にしか見えないのですが、どうにもこれがいつの時代も難しいようです。
　例えば、社民党の弱体化も、何故、あそこまで小さな政党になったのに、なお分裂を繰り返さなければならないのでしょう。社民党支持者の離反を招くのが分かり切っているのに、です。

　未来の党の分裂は残念な結果ですが、卒原発に期待していた国民の声は決して小さいものではなかったということを示したということ、その声の結集の可能性を示したということの意義は大きかったのではないかと思います。
　旧未来の党の議員には、今後、議員活動を行っていくにあたって、この声だけは忘れてもらいたくありません。



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