法科大学院制度を推進する人たち その5
- 2013/03/06
- 09:57
本日、法科大学院制度を信奉する人たちから、以下のような文書が配布されました。
「法曹養成制度の改革に関する決議案について(第5回)
-会員懇談会終了後のアンケート実施に対する意見-」
先日、札幌弁護士会では、法曹養成制度について、法科大学院から司法試験受験資格要件を撤廃するかどうかについて会員懇談会が実施されました。
「極めて残念だった会員懇談会での法科大学院信奉者たちの発言」
会員懇談会での会長挨拶では、会員アンケートを実施し、会員の6割の賛同が得られれば臨時総会に付する旨の発言があり、翌日から会員アンケートが実施されました。
そのアンケートの特徴は、①記名式であること、②決議案に対する賛否を問うもの、です。
臨時総会を見据えたアンケートですから、記名式は当然のことです。臨時総会は挙手による投票ですから、誰が賛成・反対したかは当然にわかることですし、単なる動向調査ではないのですから、無記名で良いはずがありません。
ところで、この会員アンケート実施に難癖をつけてきたのが、法科大学院信奉者たちです。
上記文書では、会員懇談会直後にアンケートを実施したことについて
「そこでの議論の内容が執行部における方針の検討に反映されることを期待していたと思います。」
「しかしながら、会員懇談会の翌日(略)アンケート用紙が配布されました。」
「先の会員懇談会は、執行部が参加者の意見を聴聞する形式的な手続に過ぎない、それを予定通り終えたとでも言いたげ」
と述べています。
会員懇談会での発言は、意見は二分していました。賛成・反対がほぼ交互に発言していたからですが、会内の意見が拮抗しているということでありません。
そのような議論状況の中で、「方針の検討に反映」って、一体、どのようなことを想定しているのでしょうか。
結論が同じ方向に向いているのであれば、その構成とか表現とかについて意見を述べることで「反映」させるということは当然のことですし、可能なことです。
しかし、今回の議論は、大きくは賛成か反対かに集約されます。従って、両者が交わることはありません。足して二で割るような性質のものではないのですから、「方針の検討に反映」が具体的に想定できるはずもなく、この法科大学院信奉者たちは、単に言い掛かりをつけているだけなのです。
会員懇談会では、議論が二分されていること、それぞれの意見を聞いて会員が賛否を判断するというものですから、どこにも問題はありません。
この部分も言い掛かりです。
「ご都合で参加できなかった会員に対しては、執行部が速やかに会員懇談会の模様や内容について情報提供を行い、会員の向後(今後?)の意見形成に当り参考にしていただくための手立てをとることが求められていた」
このアンケートが実施される前から、司法改革推進本部名で、多くの文書が配布されています。
それだけでなく、この法科大学院信奉者たちからの文書も多く配布されています。
このような機は熟したという状況でのアンケートの実施であり、会員懇談会の様子が「速報」されていないことだけをもってアンケートの実施にクレームをつけるのは筋違いといえます。
そういえば、この法科大学院信奉者たちが理事者のときって、どの程度の情報開示をしていたのでしょうか。
最近ですよ。執行部などから情報提供が多くなったのは。
そして、一番問題だと思うのは、この部分。
「この問題について、常議員会での審議がまだ継続中であるにもかかわらず、執行部がこれを重視するとしながら、会員懇談会の翌日にアンケートを実施するという方法は、これほど重要な問題について会の方針を決めるプロセスとしては適切とはいえない」
先の会員懇談会でも、法科大学院信奉者の1人(元会長)が、総会に掛けるなら「常議員会での圧倒的な賛成が条件だ」という趣旨の発言をしました。
総会に提案するかどうかは、会長権限でできます。
常議員会の議決は要件ではありませんが、通常は、常議員会で多角的な議論を行い、総会に掛ける議案を審議することがより民主的だからこそ、常議員会で審議しているのです。それこそいろいろな意見を反映させて修文されていきます。
しかも、今回は記名式アンケートを実施し、その結果によって臨時総会を開催するかどうかを判断すると会長は述べているのですから、どこが問題なのかということです。
弁護士会の最高意思決定機関は、総会です。常議員会ではありません。
常議員会は、立候補し、当選した者が常議員となり、常議員会を構成します。総会を常に開催することはできませんから、日常的な議決は常議員会で行うということになっているだけで、弁護士会の議決機関としては総会の方が上です。
法科大学院信奉者たちは、間接民主制を採る国会の在り方とは全く違うということをご存知なのか、理解できないのか。
常議員会は、間接民主制を意味するものではありません。総会があり、総会については会員から臨時総会の開催請求もできることになっているからです。
そして、総会で議論し結論を出すことがダメだという理由は絶対にありません。
総会に掛けること自体を否定する理由など存在し得ないのです。
ましてや、常議員会での「圧倒的な賛成」が条件だなどと、何をどのように考えても導かれるものではありません。
論理的にも破綻しているのです。
何故、法科大学院信奉者たちは常議員会の議決をこれほどまでにこだわるのか。
決議案が総会にかかれば、可決される可能性が極めて高く、総会を主戦場にした場合には、この決議案を阻止できる見込みがないからです。
総会で阻止できない、ならばその手前の常議員会で阻止せよ!
これが法科大学院信奉者たちの狙いです。
何と姑息なのでしょうか。
なお、法科大学院信奉者たちは、執行部が実施した記名式アンケートの問題点について、続きの文書を出すそうです。
どんな破綻した論理を展開するのか、非常に楽しみです。
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「法曹養成制度の改革に関する決議案について(第5回)
-会員懇談会終了後のアンケート実施に対する意見-」
先日、札幌弁護士会では、法曹養成制度について、法科大学院から司法試験受験資格要件を撤廃するかどうかについて会員懇談会が実施されました。
「極めて残念だった会員懇談会での法科大学院信奉者たちの発言」
会員懇談会での会長挨拶では、会員アンケートを実施し、会員の6割の賛同が得られれば臨時総会に付する旨の発言があり、翌日から会員アンケートが実施されました。
そのアンケートの特徴は、①記名式であること、②決議案に対する賛否を問うもの、です。
臨時総会を見据えたアンケートですから、記名式は当然のことです。臨時総会は挙手による投票ですから、誰が賛成・反対したかは当然にわかることですし、単なる動向調査ではないのですから、無記名で良いはずがありません。
ところで、この会員アンケート実施に難癖をつけてきたのが、法科大学院信奉者たちです。
上記文書では、会員懇談会直後にアンケートを実施したことについて
「そこでの議論の内容が執行部における方針の検討に反映されることを期待していたと思います。」
「しかしながら、会員懇談会の翌日(略)アンケート用紙が配布されました。」
「先の会員懇談会は、執行部が参加者の意見を聴聞する形式的な手続に過ぎない、それを予定通り終えたとでも言いたげ」
と述べています。
会員懇談会での発言は、意見は二分していました。賛成・反対がほぼ交互に発言していたからですが、会内の意見が拮抗しているということでありません。
そのような議論状況の中で、「方針の検討に反映」って、一体、どのようなことを想定しているのでしょうか。
結論が同じ方向に向いているのであれば、その構成とか表現とかについて意見を述べることで「反映」させるということは当然のことですし、可能なことです。
しかし、今回の議論は、大きくは賛成か反対かに集約されます。従って、両者が交わることはありません。足して二で割るような性質のものではないのですから、「方針の検討に反映」が具体的に想定できるはずもなく、この法科大学院信奉者たちは、単に言い掛かりをつけているだけなのです。
会員懇談会では、議論が二分されていること、それぞれの意見を聞いて会員が賛否を判断するというものですから、どこにも問題はありません。
この部分も言い掛かりです。
「ご都合で参加できなかった会員に対しては、執行部が速やかに会員懇談会の模様や内容について情報提供を行い、会員の向後(今後?)の意見形成に当り参考にしていただくための手立てをとることが求められていた」
このアンケートが実施される前から、司法改革推進本部名で、多くの文書が配布されています。
それだけでなく、この法科大学院信奉者たちからの文書も多く配布されています。
このような機は熟したという状況でのアンケートの実施であり、会員懇談会の様子が「速報」されていないことだけをもってアンケートの実施にクレームをつけるのは筋違いといえます。
そういえば、この法科大学院信奉者たちが理事者のときって、どの程度の情報開示をしていたのでしょうか。
最近ですよ。執行部などから情報提供が多くなったのは。
そして、一番問題だと思うのは、この部分。
「この問題について、常議員会での審議がまだ継続中であるにもかかわらず、執行部がこれを重視するとしながら、会員懇談会の翌日にアンケートを実施するという方法は、これほど重要な問題について会の方針を決めるプロセスとしては適切とはいえない」
先の会員懇談会でも、法科大学院信奉者の1人(元会長)が、総会に掛けるなら「常議員会での圧倒的な賛成が条件だ」という趣旨の発言をしました。
総会に提案するかどうかは、会長権限でできます。
常議員会の議決は要件ではありませんが、通常は、常議員会で多角的な議論を行い、総会に掛ける議案を審議することがより民主的だからこそ、常議員会で審議しているのです。それこそいろいろな意見を反映させて修文されていきます。
しかも、今回は記名式アンケートを実施し、その結果によって臨時総会を開催するかどうかを判断すると会長は述べているのですから、どこが問題なのかということです。
弁護士会の最高意思決定機関は、総会です。常議員会ではありません。
常議員会は、立候補し、当選した者が常議員となり、常議員会を構成します。総会を常に開催することはできませんから、日常的な議決は常議員会で行うということになっているだけで、弁護士会の議決機関としては総会の方が上です。
法科大学院信奉者たちは、間接民主制を採る国会の在り方とは全く違うということをご存知なのか、理解できないのか。
常議員会は、間接民主制を意味するものではありません。総会があり、総会については会員から臨時総会の開催請求もできることになっているからです。
そして、総会で議論し結論を出すことがダメだという理由は絶対にありません。
総会に掛けること自体を否定する理由など存在し得ないのです。
ましてや、常議員会での「圧倒的な賛成」が条件だなどと、何をどのように考えても導かれるものではありません。
論理的にも破綻しているのです。
何故、法科大学院信奉者たちは常議員会の議決をこれほどまでにこだわるのか。
決議案が総会にかかれば、可決される可能性が極めて高く、総会を主戦場にした場合には、この決議案を阻止できる見込みがないからです。
総会で阻止できない、ならばその手前の常議員会で阻止せよ!
これが法科大学院信奉者たちの狙いです。
何と姑息なのでしょうか。
なお、法科大学院信奉者たちは、執行部が実施した記名式アンケートの問題点について、続きの文書を出すそうです。
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