中曽根康弘氏が首相になった頃から、本格的な公営企業の民営化が始まりました。
国民の財産の投げ売りと地方切り捨てが一斉に始まったのです。
「三公社五現業」という言葉も非常に懐かしいものとなってしまいました。
これが構造改革路線の走りといえます。
大阪市の橋下徹市長が、大阪市の市営地下鉄の民営化を従来より主張していましたが、未だにその執念は捨てていないようです。
「「
共産党にならなくても」 橋下市長が“不規則発言”で注意受ける」(産経2013年3月5日)
「「
あしき共産主義だ」橋下市長、共産市議にかみつく 地下鉄民営化問題で」(産経2013年3月6日)
市営地下鉄の民営化に反対しているのは、別に共産党だけではなく、橋下維新の会以外の会派はみな反対しているようです。
大阪市の市営地下鉄が黒字ですが、もちろん赤字だからといって民営化するのは問題です。それは単なる利用料金の値上げか廃止につながるだけ、要は交通利用の弱者にしわ寄せが行くだけだからです。
黒字であろうとも、あるいは資本主義経済であろうとも、一定のインフラについては国や自治体が責任を持つということが重要です。
橋下氏が推し進めるのはまるごとの民営化ですが、このような民営化は、市営地下鉄だけでなく、市立幼稚園の民営化、さらには、水道事業までの民営化(水道事業統合案否決ならだそうですが。「
水道事業統合案否決なら 橋下市長「民営化も選択肢」 大阪市議会」(産経2013年3月7日))などと言っていますが、とんでもないことです。
国家や自治体の基幹に関わるものを民営化してしまうのでは夜警国家時代に逆戻りです。
構造改革自体が、この夜警国家を目指すものであり、その思想は同一なのですが、国や自治体が責任を持つべきものまで、民営化してしまうことは、インフラ整備に重要なこれら
基幹部門が単なるカネ儲けのための手段でしかなくなってしまうということです。
地方自治体に対しては、2003年には
指定管理者制度が導入が決められましたが、その目的は、①行政部門の民営化による予算削減と②民間への儲かる部門の投げ売りにありますが(儲かる分野を民間に開放せよというから始まりました。)、儲かることを前提にしていない部門(例えば消費生活相談)はもちろんのこと(予算の削減のしわ寄せは人件費)、黒字であろうとも人件費の削減こそが利益を生み出す構造には変わりないわけで、言われるような「サービスの向上」はすべて労働者へのしわ寄せでしか成り立たないものです。
行政部門が単なるカネ儲けの手段にしかなり得ないというものです。
自治体が雇用する公務員の削減は、民間全体の労働水準にも影響を及ぼすことになりますから、ますます悪循環がひどくなります。
民営化の弊害は目に見えています。
橋下氏は、「
公営でもできるじゃないかというが、料金値下げなど全然できていないじゃないですか。(今月23日に実施される)終電延長ぐらい、とっくの昔にやってくださいよ」(前掲産経新聞)と言っているようですが、値下げさえすればよいというものでもなく(それは必然的に労働者にしわ寄せが行きます。)、また「終電延長」などというのも、公営か私営かで変わるものではありません。
これまで行われた公営企業の民営化でも弊害ばかりが目につきます。
日本電信電話公社も国鉄も郵便局も、国民財産の投げ売りの典型です。
特に国鉄の分割民営化は、自民党政治のもとで利権誘導のために借金まみれにさせられたあげく、地方の交通線がズタズタにされてしまいました。
儲かる部分だけ、あるいは一等地にある土地(汐留駅)などの資産などに目をつけられ、解体されました。
汐留駅については、「
汐留駅跡地の監視運動をふりかえって パンフ「汐留」 より」(東京合同法律事務所)参照
郵政民営化でも地方の郵便局がどうなるのかわからないまま強行されましたが、地方を切り捨てることが明白になりました(「
1700郵便局の存続が危ない」(しんぶん赤旗2012年4月17日))。
他方で、かんぽの宿のように資産の投げ売りが暴露されています(社民党「
徹底追求 郵政民営化・かんぽの宿」)。
「サービス」と言ってみたところで、その時代の水準であったりすることもあり、役人の態度がでかいなどいうのは、従来、役所一般に通じたものとして存在していたわけで、だから民間だ、などというのはいかにも短絡的で、とってつけた理由に過ぎません。
そのような発想だから、JR北海道がグリーン車の乗務員を女性にするなどという「サービス」にしかつながらないのです。
それは役所も含め全体が変わっていくべきもので、公営か民営かという選択の問題ではありません。
ことは大阪市という地域だけの問題に止まるものではありません。その地域の中でも切り捨てられる層が出てきます。
「
名古屋市、愛知県の選挙結果」
橋下氏の推し進める民営化路線に反対しましょう。
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