まだまだ終わるわけがない戦後処理問題 軍国主義復活の野望

　安倍首相が河野談話の見直しや、靖国参拝などを自民党総裁に就任した時期から声高に叫んでいます。
「自民党総裁選挙　安倍晋三氏による右傾化路線」
　そのような右傾化路線をさらに右からたきつけているのが、中山成彬議員（自民党）です。
　ブロゴス記事では、「話題」という形で取り上げられています。
「中山成彬議員の質疑、資料が話題に。」（ブロゴス）
ご自身のブログでの釈明はこちら。
「早く自虐教育をやめさせないと 」

　自虐史観などと言っているようでは、永遠にこの問題は解決しないのです。
　日本国内の名前も名乗れないネットウヨクたちが騒いだとしても、在特会のような人たちが日の丸をもって韓国人を殺せなどと騒いでも、それ自体はどこの国にもそういう人たちっているようね～（例えば、ドイツでもナチスの信奉者は今でもいるでしょう。）というものですが、それを政治家が扇動しているということになると、全く意味が違ってきます。

　極右の石原慎太郎氏や安倍晋三氏が極右路線を突っ走っているのは、単に大日本帝国万歳とか、帝国軍隊に陶酔している軍事オタクとかいうレベルではなく（石原慎太郎氏はそのレベルかもしれない。）、暴力的な大きな声ばかりに幅をきかせ、国民を恫喝のもと、反抗を抑え、国家のために死ねる日本人を育成することにその目的があります。
　このような人たちにかかると、東京裁判についても、戦勝国が敗戦国を裁いたという側面ばかりが強調されているのが特徴です。
　もちろん、東京裁判には限界があります。何故、非人道的な原爆の投下が裁かれないのでしょうか。無差別爆撃が裁かれないのでしょうか。シベリア抑留が裁かれていません。
　しかし、だからといって、日本が行ったアジア太平洋の国々は地域に対する侵略行為が許されようはずもなく、それが断罪されたという側面を否定することはできません。
　従軍慰安婦問題や南京大虐殺の問題も然りです。
「極右勢力による教育支配と歴史の改ざん」

　日本の軍隊が侵略の軍隊であり、朝鮮人、中国人をはじめ、アジア各地で多大な殺戮を繰り広げてきたことは紛れもない事実です。無抵抗の人たちに対する殺戮行為や、性奴隷の歴史は否定しようがありません。
　日本が朝鮮でやってきたことは、人を人とは思わない植民地支配であったし、さらには、日本国内の経済の崩壊に直面して台頭してきた軍部は大陸へと対外侵略に突き進んでいったのですから、そこで生きている人たちなど最初から邪魔な存在でしかなかったのです。あるいは奴隷の対象としてしか考えていなかったということでもあります。
　だからこそ、日本軍部は無条件降伏をした場合、日本人男子の奴隷的海外移住を本気で心配していたのですから。
「日本帝国軍隊の末路とその犠牲」
　南京大虐殺や従軍慰安婦問題を否定しようとする人たちは、本気で信じ込んでいるのであれば、では日本は中国に対して何故、軍隊を侵攻させたのでしょうか。
　日本軍国主義がやってきたことを反省するのは当然のこと。
　それは日本国民に対しても同様です。徴兵によって国民を牛馬のごとく動員し、戦地に送り込んで死を強要するがごときは、鬼畜にも匹敵する所行です。
　戦地に行かされる方も地獄、殺される方はもっと地獄。
　同じ人に対して強要すべきことではないのです。
「「俺は、君のためにこそ死ににいく」　戦争賛美でない!?」
「産経新聞　歴史認識問題に中学生を利用するのは品がない」

　さて、日本の過去のこのような事実を否定したい人たちが目指す国家・社会とはどのようなものでしょうか。
　過去の事実に反省しない人たちが求めているもの、それは再び戦争のできる国家にすることです。憲法９条の「改正」を声高に叫ぶのも、このような人たちです。

　そして、彼らがどうしても否定しなければならないのが、過去の日本による侵略という事実です。
　侵略のために死んでいった人たちがいれば、その死を強要した人たちに対する批判の矛先が向くことになりますが、それでは戦争はできません。
　今後、日本は、財界の要請により戦争ができる国家、集団的自衛権を行使し、世界各地に派兵することを目的にしていますが、そこでは当然に死を前提にせざるを得ません。どんなに兵器のハイテク化が進もうとも中東での米軍の死者が減らないことをみても明らかです。
　軍人が死を拒否するようでは軍隊は成り立ちません。しかし、財界のための死ねと言って納得する人はいません。そこには抽象的な「国家」を想定することです。あるいは「元首」としての天皇を想定することです。
「憲法9条こそ守らなければならない　「改憲」議論の危険性」

　かつて死んでいった人たちを英霊として祭り上げなければ、今後、死を受け入れる人たちを確保できないということでもあります。
　「自虐教育」を改めさせ、犬死にさせられた人たちを「英霊」とか「軍神」とか祭り上げることで、幼少期から洗脳教育を施し、国家という抽象的なもの、あるいは元首である天皇のために死ねる国民を育て上げることを本気で考えているということです。

　過去を反省しない人たちが憲法９条の「改正」を声高に叫んでいる状況の下では、日本が国際社会の中で認められようはずもありません。
　戦後処理問題が未だに続いているのは、このような無反省の極右の人たちが「軍国主義」を復活させようとしているからに他なりません。

　ところで、このように「軍国主義」の復活と主張すると、決まって戦前のような軍国主義になるわけがないじゃないかとかみついてくる人たちがいます。
　そのようなことは当たり前。軍国主義は、現代風に形を変えてやってくるんですよ。平和ボケをしないように注意しましょう。
「自民党「国防軍」は軍事大国化への道、国民総貧民化への道」



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