憲法9条を敵視する人たち

　安倍晋三氏が2012年12月に総理の座につくと、急速に憲法「改正」が政治課題に浮上してきました。
　安倍氏が一番のターゲットにしているのは、いわずと知れた憲法9条です。
「憲法9条こそ守らなければならない　「改憲」議論の危険性」

　そして、憲法9条の「改正」を目指すために、まずは、憲法改正手続規定を変えてしまえというのです。
　手続規定を変えろというのは憲法という基本法の意味を否定するためのものでしかありません。

「なぜ日本国憲法９６条は憲法改正をしにくくしているのか　「笑顔のファシズム」に気をつけましょう」（Everyone says I love you !）

　憲法は、時の権力者を縛るものであって、簡単に権力者の側から憲法を変えることができないという仕組みをとっています。
　それを各議院の３分の２以上から過半数に緩和しようというのですから、権力者側から「改正」しやすくするもので、それは憲法を踏みにじる行為そのものなのです。

　これについて日弁連が意見書を出しました。
「憲法第９６条の発議要件緩和に反対する意見書」（2013年3月14日）
　今後は、この憲法96条（改正手続規定）の「改正」に反対する運動をしていくことが極めて重要です。

　さらに安倍内閣は、憲法を蹂躙する集団的自衛権行使の容認と国家安全保障基本法案の実現を画策しています。
　憲法9条のもとでは自衛隊や日米安保条約自体、論外なのですが、それはひとまず置いておくとして、少なくとも政府見解によっても集団的自衛権の行使は憲法違反ということになっていました。これが憲法が課した軍事大国化への歯止めであったのです。
　憲法が権力者の側の行為を規制してきたと言えます。
　そのため、日本の軍事大国化を目指す人たちにとっては、この憲法9条こそがもっとも忌み嫌う対象となったのは当然でした。
　安倍氏は、従来、政府見解によっても禁止されている集団的自衛権の行使を憲法の規定の「解釈」の変更によって実現してしまおうというのです。
　これも憲法の否定と同じです。
　日弁連がこれについても意見書を出しました。
「集団的自衛権行使の容認及び国家安全保障基本法案の国会提出に反対する意見書」（2013年3月14日）
　集団的自衛権の行使を実現する目的は、何も尖閣問題や竹島問題を解決するためではありません。米国主導の世界で展開する戦争にどこまでもついて行きますというためのもので、全く日本国土の安全保障とは無関係どころか、かえって世界に敵を作るようなものです。

　このように急速にきな臭くなってきたことと、安倍氏が過去の歴史認識を改めよなどと言っているのは全く無関係でありません。
　戦争をできる国家作り、戦争を容認する国民作りが根底にあります。
「まだまだ終わるわけがない戦後処理問題　軍国主義復活の野望」
　戦死していった人たちは「英霊」でなければならず、過去に日本が誤った行為（侵略戦争、植民地支配）をしたということは、あってはならないことなのです。

　日本国家が行う戦争に間違ったものはない！
　そのようなことで、日本人のアイデンティティを求めようとすること自体、時代錯誤も甚だしいのですが、日の丸や君が代教育により、児童に対して洗脳教育を施そうとしているのを見ても、本気でそれがアイデンティティになると考えているのです。
「自民党憲法改正草案の恐ろしさ　国歌、国旗への忠誠」

　そして、世界に対しては、自由主義、民主主義の価値を守るというような米国の大好きな戦争を合理化する詭弁に便乗したり、邦人をテロから守るという口実をもって軍事大国化の道を突き進もうとしているのです。

　もちろん、その行き着く先には徴兵制があります。
　最近、開米瑞浩氏による「「自民党が徴兵制導入を検討」というデマ」（2013年3月17日）という記事が紹介されていましたが、何故、今頃、共同通信の記事が云々などと主張している趣旨がよくわかりません（要は、安倍自民党になり徴兵制復活の影がちらついていることから、それを躍起になって否定しようとしたのでしょう。）。
　安倍自民党が徴兵制復活を「公約」したなどとは誰も言ってはおらず、阿部氏率いる自民党が狙っているもの、それは、憲法「改正」であったり、自民党の憲法草案が国民の権利を制限し、義務を強調するもの、国防軍の創設、しかも天皇元首化など、極めて全体主義、軍国主義色を色濃く出していることから、その狙い（徴兵制復活）が各方面から指摘されているものです。その意味では、開米瑞浩氏の指摘はずれているとし、むしろ、ご自身が徴兵制についてどのように考えているのかも問われるわけで、そのような自民党の提灯持ちをするよりは、「自民党が徴兵制の導入を主張したら、断固、反対する。」と言うべきでしょうね。多分、言えないと思いますけど。
　しかも、開米氏の徴兵制論は、現代のハイテク化の中では役に立たない、カネが掛かるからという理由では、どうにもなりません。
　徴兵制度は国民支配の道具です。
「徴兵制を導入したい人々の目的」（Ａｆｔｅｒｎｏｏｎ　Ｃａｆｅ）
　武道必修化などいう役にも立たない精神論だけのものが、思いつきのごとく、導入されていることを見ても、徴兵制は現実のものなのです。
「武道必修化は愚策そのもの」
　しかも、実際に戦地で戦死者が出るようになれば、もうハイテク兵器だから～、なんていう状態にはなりません。志願兵の確保が困難になります。
　米国のように極端な格差社会の中で、食えなくなった人たちを集めてということが日本で可能なのかどうか。
「自民党「国防軍」は軍事大国化への道、国民総貧民化への道」
　徴兵制度こそが日本の極右勢力にとっては、最上の手段ということです。そこでは、はっきりと根性論が幅をきかせることでしょう。
　ネットウヨクたちの精神論的な主張をみれば、その危うさがはっきりとします。

　現行憲法を守ることこそ、平和を守っていくための最大の防御です。
　極右勢力の妄言に欺されないようにしましょう。



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