法曹の質、能力について
- 2010/02/17
- 14:55
最近、法曹人口の激増に伴い、法曹の質、能力の低下が言われるようになりました。
研修所の卒業試験(いわゆる二回試験)に落ちる修習生の数が多くなったこと、最高裁が修習生の現状について報告書を出しましたが、その中で述べられているものは、そもそも司法試験に合格して良かったのかというレベルのものまでもありました。
現在、司法修習は1年間ですが、私が修習した頃は、2年間でした。しかも、クラスの人数は60名程度でした(現在ではもっと多いと聞いています。)。
昨日、修習生の頃、起案したものを整理していましたが(要は、事務所が狭くなったための整理です。)、教官からは、もっと気合いを入れて勉強するようにとか、イエローカードとかを頂き、私自身の出来が悪かったことを改めて実感しました。
無事に二回試験に通ることができたのは、その起案したものを振り返れば一目瞭然、教官が赤ペンで非常に丁寧にコメントして頂いていたこと、しかも、2年間の修習でしたので、二回試験までの時間もあったことも、幸いでした
現在の修習生は、1年間の修習、しかも、弁護士になる場合には就職先がないことから、就職活動とも両立させなければならない状況であり、ほとんど勉強する時間もないことでしょう。
しかし、他方で、修習生の頃の起案をみて思ったのは、本当にこのような能力が必要なんだろうかということです。
刑事裁判の修習では、判決の書き方が句読点の打ち方まで教えられました(でも内容は覚えてません。)。
また、民事裁判の修習でも、要件事実論が中心であり、事案、当事者の主張の整理が中心でした。
研修所は裁判官、検察官への登用のためのリクルートの場と言われていますが、要件事実教育の成績によって選別していくことは、裁判所のリクルートの場としては「有用」な教育ということになるのでしょう。
しかし、このようなことすべてに、意味があるとは思われません。研修所で行われる要件事実整理程度は、弁護士として、できてくれなければ困るということもありましょうが、即、法曹、特に弁護士としての能力の欠如に結びつくとも思えません。
裁判官、検察官、弁護士という法曹三者の養成のための司法修習では、もっと別にやるべきことがあるように思います。例えば、事実認定の仕方、無罪推定の原則の考え方などは、法曹三者の共通のテーマなはずですし、司法試験に合格したことを前提にした実務教育の出発点ではないかと思います。
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研修所の卒業試験(いわゆる二回試験)に落ちる修習生の数が多くなったこと、最高裁が修習生の現状について報告書を出しましたが、その中で述べられているものは、そもそも司法試験に合格して良かったのかというレベルのものまでもありました。
現在、司法修習は1年間ですが、私が修習した頃は、2年間でした。しかも、クラスの人数は60名程度でした(現在ではもっと多いと聞いています。)。
昨日、修習生の頃、起案したものを整理していましたが(要は、事務所が狭くなったための整理です。)、教官からは、もっと気合いを入れて勉強するようにとか、イエローカードとかを頂き、私自身の出来が悪かったことを改めて実感しました。
無事に二回試験に通ることができたのは、その起案したものを振り返れば一目瞭然、教官が赤ペンで非常に丁寧にコメントして頂いていたこと、しかも、2年間の修習でしたので、二回試験までの時間もあったことも、幸いでした
現在の修習生は、1年間の修習、しかも、弁護士になる場合には就職先がないことから、就職活動とも両立させなければならない状況であり、ほとんど勉強する時間もないことでしょう。
しかし、他方で、修習生の頃の起案をみて思ったのは、本当にこのような能力が必要なんだろうかということです。
刑事裁判の修習では、判決の書き方が句読点の打ち方まで教えられました(でも内容は覚えてません。)。
また、民事裁判の修習でも、要件事実論が中心であり、事案、当事者の主張の整理が中心でした。
研修所は裁判官、検察官への登用のためのリクルートの場と言われていますが、要件事実教育の成績によって選別していくことは、裁判所のリクルートの場としては「有用」な教育ということになるのでしょう。
しかし、このようなことすべてに、意味があるとは思われません。研修所で行われる要件事実整理程度は、弁護士として、できてくれなければ困るということもありましょうが、即、法曹、特に弁護士としての能力の欠如に結びつくとも思えません。
裁判官、検察官、弁護士という法曹三者の養成のための司法修習では、もっと別にやるべきことがあるように思います。例えば、事実認定の仕方、無罪推定の原則の考え方などは、法曹三者の共通のテーマなはずですし、司法試験に合格したことを前提にした実務教育の出発点ではないかと思います。
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